連邦控訴裁判所は18日、産婦人科医の金山昌秀氏(63)が、器物損壊罪の訴追を受けるため日本へ身柄を引き渡されることを認める判決を下した。この判決により、金山医師の身柄引き渡しはほぼ確実となった。引き渡し最終決定権を持つ米国務省は先月、引き渡しを承認する方針を示していた。司法省は医師の法的上訴手続きが完了するまで移送を延期すると表明している。ニューヨークタイムズが同日、伝えた。

日本の警察は、「金山医師は2015年、1000年以上前に建立された仏教寺院に油性の液体を撒き、そのわずか1時間後には、紀元前643年に創建された神道神社にも同様の行為を行った」と述べている。警察は、両現場の監視カメラ映像に加え、レンタカー・通行料・航空券の記録から金山医師の犯行を特定したと発表。また12年のYouTube動画も引用し、日本当局が金山医師と特定した人物が宗教目的で神社に油を注ぐ行為について語っている様子を示した。日本はアメリカに対し金山医師の身柄引き渡しを要請していた。
金山医師の弁護人、ジェフリー・リクトマン氏は、「依頼人がいかなる遺跡も損傷しておらず、起訴するには証拠が不十分だ」と否定。金山医師と弁護団は、同医師が標的にされたのは、「キリスト教徒が数百年にわたり弾圧を受け、現在も人口のわずか1%しか占めない国出身のキリスト教徒だったためだ」と主張している。リクトマン氏は18日、最高裁への上告手続きが完了するまで控訴裁判所の判決執行停止を求める意向を明らかにした。同弁護士は、日本に送還された場合は裁判にかけられ、有罪判決を受けた場合、最高5年の懲役刑に処される可能性があると述べている。
在ニューヨーク日本国総領事館は18日、ニューヨークタイムズのコメント要請に対し直ちに応答しなかった。総領事館は以前、日本の身柄引き渡し請求は「厳密に法と証拠に基づく」ものであり「政治的・宗教的考慮によるものではない」と表明している。
金山医師は子宮内膜症の専門家としてニューヨークで約30年間にわたり治療。キリスト教徒でもある同医師は「信仰に導かれるとき、医療は他者に奉仕することで神に仕える手段となる」と語り、数多くの患者が、彼の手術によって激しい痛みが和らぎ、場合によっては子どもを授かることができたと証言している。
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