2025年11月22日 NEWS DAILY CONTENTS

NYCマラソン、来年こそは出たい|抽選は激戦なの?エントリーや練習方法は?徹底解説

ニューヨークシティマラソンは、世界中から約6 万人のランナーと200万人以上の応援者がかけつけ、街中が歓声と音楽があふれ、街全体がランナーを祝福する日だ。今年は11月2日に開催され、街全体がフェスティバル化した様子を目の当たりにして、来年こそは出てみたいと思っている人も多いだろう。

世界のランナーがこぞって集まるニューヨークシティマラソン(photo: Unsplash / Tong Su)

そこで今回は、ニューヨークシティマラソンに出場する方法を徹底解説。お話を伺ったのは、今年完走し、ランニングクラブを運営している小崎裕也さん。

2時間57分37秒の素晴らしい記録で走り終え、メダルを手にした小崎さん

ニューヨークシティマラソンは、誰でも走れる大会ではない。世界中から応募が集まり抽選は激戦だ。ここ数年は応募が増え続け、当選率は2〜3%ほどとも言われている。思い立ってすぐ走れる大会ではなく、出場にはいくつかの方法がある。

出場方法は大きく分けて次の5つある。

1)一般抽選(Lottery)

毎年1月末〜2月末に抽選が行われる。最も簡単で費用がかからない方法だが、前述したとおり世界中から応募が集まり当選確率が低いことを鑑みると、いつまでたっても出られない可能性もある。「10年連続で落選している人もいれば、初応募で当たる人もいる。ただ、抽選で走る人は初心者の人が多く、実際当たったとしても、練習がままならず本番で辛い思いをしないように練習をしておくことが必要です」と小崎さんは言う。

2)タイム基準での出場(Time Qualifier)

規定のタイムを公認大会(フルもしくはハーフ)で記録しているランナーは、抽選なしで確定出場できる。年齢が上がるほど、基準は緩くなるそうだが、かなりこの基準はかなり厳しく初心者がいきなり目指すには現実的ではない。

3)チャリティランナー(Charity Entry)

大会が指定する公式チャリティに寄付することで出場権を得られる。寄付額はおよそ $2,500〜$5,000。費用はかかるが、確実に出たい人にとっては最も安全な方法である。

4)旅行代理店の出走枠(International Travel Partner)

海外在住者向けのツアーパッケージで、航空券やホテルとセットで出走権を購入する方法だ。高額にはなるが、日本から参加したい人はこの方法を選ぶのが確実。

5)NYRR「9+1 Qualifier

ニューヨークロードランナーズ(NYRR)のレースを1年のうちに9回完走し、さらに1回ボランティアをすることで、翌年の出場権が確定する制度。ニューヨーク近隣在住者にとって最も現実的で、費用を抑えられる方法だ。小崎さんも、この9+1 Programで今年は出場することができた。

「NYに住んでいる人なら、9+1が1番確実で、仲間もできやすい方法です。レースを積み重ねることで走力が自然に育っていくので、無理なくマラソンにつながります」

9回のレースは、5km、10km、5マイル、10マイル、ハーフなどがあり、自分の練習ペースに合わせて申し込むことができるのも魅力だ。それに加え、レースの給水所などでボランティアをすることで自動的に参加出場権を獲得できる。ただし近年はニューヨーク内のランニング人口が増加しており、NYRRのレースは申し込み開始と同時に満席になることも多い。そのため現在は、NYRRに登録した上で、レースの先行申込ができる「Member Plus」にアップグレードすることが事実上必須になりつつある、と小崎さんはいう。

実際、2026年のマラソンに出場するための、2026年の1月から3月のレースの枠は既に売り切れている。そのため、次回の2026年4月以降のレース枠が、1月くらいにオープンになる予定で、そこを狙う必要がある。

初心者が入りやすいランニングクラブ

ここまで話を聞いて感じたのは、NYCマラソンの出場権を獲得するのは、人気アーティストのコンサートチケットを取るかのごとく難しいということだ。レースの情報を常にチェックして申込みをする必要がある。1人では申込みを忘れてしまうこともあるし、何よりも1人で練習するというのは孤独な戦いだ。そんな人のために小崎さんは、初心者が参加しやすい“ランニングクラブ”を立ち上げた。

特徴は、タイムを競わないこと、完走や自己記録を最初の目的にしないことだ。「まずは、外に出て、身体を少し動かす習慣をつくることが大事です。いきなり走らなくても、ラジオ体操だけでも十分です」どんなレベルでも、まずは「始めること」を目的に、毎週日曜日9時からセントラルパークで、ラジオ体操とランニングをしている。

ランニングクラブの仲間と

「ランニングに苦手意識がある人でも、グループだと自然に続けられます。最初はラジオ体操だけの参加でも大歓迎です」

ランニングクラブでは、パーティーなどのイベントも小崎さんが理学療法士として勤めるクリニックで開催している。ランニングはちょっと苦手という方も、まずはクリスマスパーティーなどのイベントから気軽に参加してみてはどうだろうか。

写真/小崎裕也
文/藤原ミナ

小崎裕也(こさき・ひろや)・米国理学療法士(DPT)

NYRR「9+1 Qualifier」を達成した記念に

日本で理学療法士の免許を取得後、2020年に渡米してジョージア州エモリー大学の理学療法士博士課程(DPT)に進学し、2023年に理学療法士免許を取得。現在は、マンハッタンにあるフィジカルセラピークリニック「FuncPhysio Physical Therapy」に勤務。初心者でも参加しやすい「ランニングクラブ」の主宰 や、姿勢・ランニングフォームのセミナー も定期的に開催している。「走ったことがない人でも、まず一歩を踏み出せる環境づくり」を大切にしている。

小崎さんが勤めるクリニック
FuncPhysio Physical Therapy
Manhattan Office
2 W 45th street Suite 1600
ランニングクラブ
https://funcphysio.com/ja/2025/03/31/funcphysio-running-club-our-activities/

                       
合わせて読みたい記事
RELATED POST