2025年12月10日 NEWS DAILY CONTENTS お得情報

アメリカ入国が速くなる? 政府公式アプリ「Mobile Passport Control(MPC)」とは

Emily Studer

感謝祭から年末年始、夏休みなど、“民族の大移動”の時期に多くの人が直面するのが入国審査の長い行列。特にニューヨーク周辺の空港では、同じタイミングでの便が集中し、「せっかくリフレッシュしたのに、入国で1時間以上並んでしまった」という声も多く聞かれる。こうした状況を踏まえ、近年は入国審査を効率化するツールに注目が集まっている。その代表例が、アメリカ政府公式のMobile Passport Control(MPCGlobal Entry だ。

入国審査を早く通過できると、預け入れ荷物も早く受け取ることができる。ニューアーク国際空港

◆ 入国をスムーズにする主なツール:MPC と Global Entry の違い

Mobile Passport Control(MPC)

MPC は 米国税関・国境警備局(CBP)が提供する公式アプリで、スマートフォンからパスポート情報と税関申告を事前送信するというもの(無料)。紙の税関申告書が不要で、MPC専用レーンを使え、事前審査や面接は不要。手軽に利用できることから、「Global Entryまでは必要ないが、行列を短縮したい」という利用者の間で人気となっている。

Global Entry(政府公式有料・審査あり)

Global Entry は、申請と面接、バックグラウンド調査を経て登録する有料(100ドル前後)のプログラム。最もスムーズに入国できる“最上位サービス”とされる。自動化ゲートで最短入国、TSA PreCheck も利用可能。

◆MPCの対象者

現時点で公開されている情報では、次のカテゴリーが対象。

アメリカ市民(U.S. Citizens)

アメリカ永住者(Green Card holders)

ビザ免除プログラム(VWP)利用者=ESTAで入国する旅行者

特定のカナダ人訪問者

*ESTA利用者は「多くの場合、利用可」とされているが、初回入国時(初回ESTA入国では CBPが生体情報を初めて取得する必要があるため、MPCのスマホ照合が成立せず、利用不可となる場合がある)は、登録審査の都合で使えない可能性があるので、事前に要確認。

◆MPCの非対象者

MPCは簡単な身元確認+税関申告をスマホで送る仕組みのため、詳細な審査が必要な下記のようなビザ保持者は通常の入国審査が必須となる。

F-1 / M-1(学生ビザ)、J-1 / J-2(交換留学生・研究ビザ)、H-1B / H-4(就労ビザ)、L-1 / L-2(企業内転勤ビザ)、O / P / R (特殊技能・宗教関係ビザ)、B1/B2(観光・商用ビザ)保持者。ESTAではないビザ入国の場合、E-2(投資ビザ)、その他ほとんどの非移民ビザ。

◆ MPCの基本的な使い方(4ステップ)

必ず公式アプリをダウンロード(App Store / Google Play)→パスポート情報を登録(写真読み取り可)→到着後、質問に回答して送信(セルフィー撮影+税関申告)→MPCレーンへ進み、QRコードを提示

◆ 利用可能な空港(ニューヨーク周辺含む主要空港)

2025年時点で、MPCは 30以上の主要空港と複数のクルーズ港で利用可能。

ニューヨーク周辺の対応空港:ジョン・F・ケネディ国際空港ニューアーク・リバティ国際空港

空港によってはMPCレーンが混雑していたり、一時的に使えない可能性もあるので、到着前に公式アプリの対応空港リストで確認しておくことを推奨。

◆ MPCが「大衆化していない」理由と使用するメリット

そもそも サービスの存在を知られていない、Global Entryの印象が強く、比較されやすい。空港によっては利用者が少なく、「並ぶ必要すらない」状態もある。つまり、広く普及していない分、知っている人だけが得をするツールとして活用できる。

◆ まとめ

日本人の一時帰国が増えるこの時期、アメリカ入国の混雑は避けられないが、無料で利用しやすいMPC、有料で最速クラスのGlobal Entryといった複数の選択肢を理解しておくことは、旅行者にとって大きな助けとなる。特にMPCは「政府公式で安全」かつ「誰でも使いやすい」時短ツールであり、ESTAで入国する日本人にとって、有力な選択肢の一つとなる。

文・写真/Miki Takeda

                       
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