米税関・国境警備局(CBP)は9日、ビザ免除プログラムを利用してアメリカに入国する外国人に対し、最大5年分のSNS利用情報の提出を義務付ける計画を明らかにした。電子渡航認証システム(ESTA)を利用するイギリス、フランス、韓国など40カ国以上が対象。日本も対象となる。ニューヨークタイムズなど主要メディアが同日、伝えた。

連邦官報に9日掲載された公示によれば、CBPはビザ免除プログラムの申請時に、SNSの情報開示を必須項目として求める。項目には、SNSアカウントの他、過去10年間の電子メールアドレス、両親・配偶者・兄弟姉妹・子どもの氏名・生年月日・居住地・出生地など、膨大な個人データが含まれる。今回の措置は、トランプ政権が既に実施しているH-1BやF-1ビザ申請者に対するSNS審査に続くもの。CBPは、同提案について60日間のパブリックコメントを受け付ける。
現行制度では、ビザ免除プログラム対象国の申請者は電子渡航認証システム(ESTA)に登録する必要がある。申請者は40ドルを支払い、メールアドレス、自宅住所、電話番号、緊急連絡先の情報を提出する。認証は2年間有効。
ビザ・移民支援会社バウンドレス(Boundless)の共同創業者兼CEOのシャオ・ワン氏は声明で、2016年以降、申請書へのSNS情報の記載は任意となっており、CBPがこれまで、この質問をスキップすることが申請にどう影響するかを明確にしてこなかったと述べた。今後は、SNS記録がないことを「申請者が何かを隠している証拠」と見なす傾向が強まり、申請に悪影響を及ぼす可能性があると予想している。
デジタル権利団体、電子フロンティア財団の上級弁護士、ソフィア・コープ氏は声明の中で、SNS情報の開示と監視の義務化は「市民的自由の侵害を悪化させる」ものだと非難。「(義務化は)テロリストやその他の悪党を見つけるのに効果的とは証明されていない。言論の自由を萎縮させ、罪のない旅行者とそのアメリカ人の家族、友人、同僚のプライバシーを侵害している」と述べた。
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