生活費の高騰が続くニューヨーク。それでもニューヨークでは今、高級スーパーが流行っている。そんな噂を聞きつけ、編集部がトライベッカからソーホーにある高級スーパー3店舗を回って、実際の価格帯と人気の理由を探ってみた。
■ まるで美術館
メドウレーン(Meadow Lane)

2025年11月にトライベッカにオープンした「メドウレーン(Meadow Lane)」。創業者は28歳のサミー・ナスドルフ(Sammy Nussdorf)。開業前からTikTokで準備過程を発信し、既に大きなフォロワー層を獲得していた。店内は、スタイリッシュな花が飾られ淡いベージュと間接照明に包まれている。カフェが併設されており、商品の陳列もスーパーというより、まるで美術品かラグジュアリーなブランド品のように飾られている。店舗にはモデルのようにおしゃれな人が次々と訪れていた。

「高い」のに人が来る理由は、商品を買いに来るというより、この“世界観”に浸りたいという気持ちなのだろう。ここにくれば、自分もリッチでおしゃれなニューヨーカーの仲間入り、そんな気分になる場所だった。

ちなみに気になる価格は、ランチにもぴったりな「みそサーモンボウル」が24ドル、「チキンテンダー」が17ドル。

オリジナルボトルに入ったコールドプレスジュース(各種15ドル)も人気で、ボトルのデザインも可愛らしく、思わず写真を撮りたくなる。
グリーンジュースには、キュウリ、ケール、ホウレン草、セロリ、青リンゴなど10種類前後の野菜やハーブを使用。ピンクジュースは、スイカ、ココナッツウォーター、ストロベリー、ライムなど5種類ほどの素材をブレンド。ビーツジュースは、ビーツ、ニンジン、チェリー、ショウガ、ハイビスカスなど6種類の素材を組み合わせている。

中でも一番高額だったのはキャビアだ。シベリア産キャビアが250ドル(50g)、オシェトラキャビアが750ドル(125g)、花束125ドルなどなど。値段だけ見れば驚くが、不思議と違和感がない。空間そのものがラグジュアリーだからだろう。価格さえも、この世界観の一部に感じられる。
■ 買い物が楽しくなる場所
ハッピアーグロッサリー(Happier Grocery)

ソーホーの一角にある、感度の高い人々が自然と集まる高級グロッサリー。広々とした2フロア構成の店内には、花、本、オリジナルグッズ、カフェスペースがゆったりと配置され、食料品店というより、洗練されたライフスタイル空間のような佇まいだ。

同じ建物内にはイベントスペースのApartmentもあり、ヨガやワークショップなどが開催されることもある。オーナーは「利益最大化よりもコミュニティー形成を重視する」と語る。その言葉どおり、この店には単なる物販を超えた空気が流れている。
編集部としては、今回訪れた3店の中で最も印象に残った店だった。食材だけでなく、オーガニックやウェルネス関連の商品、花やアパレルまでそろい、棚の一つ一つが丁寧にキュレーションされている。
ここでは買い物の仕方も自由だ。カフェで友人とコーヒーやランチを楽しむ人。健康志向の食材を探す人、買い物の合間に立ち寄るカップルなど。

気になるお値段は、カラフルなオリジナルドリンクの「ゴールデンミルク」が6.49ドル、「スーパーグリーン」が12.99ドルなど。

なんと、「ゆめぴりか」「長野ミルキークイーン」「ななつぼし」など日本のお米も。可愛いボトルに入って19.50ドル。

オーガニックナッツ25.99ドル、 オリジナルプロテイン62.99ドルなど。その他、リンゴは種類によって1パウンド当たり2.99~6.99ドル。花のブーケ50ドルなど…。立地を考慮すると悪くない値段だ。

店内には、本や文房具、オリジナル商品がたくさんあり、自然と滞在時間が長くなる。「何かいいものが見つかりそうだ」と思わせる、軽やかな期待感がある。
■ 意識高い系ニューヨーカーが集まる
リガー・ヒル・マーケット(Rigor Hill Market)

ハドソンバレー(Hudson Valley)にある自社農場「リガー・ヒル・ファーム(Rigor Hill Farm)」の野菜やハーブを使用する、ファーム・トゥ・テーブル型のマーケット。

店に入ると、まず香り立つのは上質なコーヒーの匂い。視線の先には、色鮮やかな葉物や根菜が整然と並び、その新鮮さはひと目で分かる。

SNSでは「トライベッカでランチするならここ」といった実用的な評価が多い。先に紹介した2つの高級スーパーのような派手さはないが、グルメなニューヨーカーに信頼されているというポジションだ。昼間は近隣で働く人たちがランチを求めて訪れる。

オリジナルジュースは10.50ドル。人気メニューは、ミックスビーツのサラダやロースト・ハニー・ナッツ・スクワッシュのサラダ14ドル。素材の甘みや香ばしさを丁寧に引き出した味わいで、シンプルながら満足度が高い。

この店を語るときに欠かせないのが、隣接するミシュランガイドにも掲載された実力店「One White Street」との関係だ。同じ農場を共有していることから、SNSでは「レストランのクオリティーがデリで食べられる」という声もある。
高級スーパーが売っているものは、モノではない
3つの店を実際に訪れて感じたのは、高級スーパーが提供しているのは、“モノ”ではなく、“世界観“ということ。店内は思わず写真を撮りたくなる空間設計になっており、SNSでシェアされることを前提にした美意識がある。無料スーパーが“生活の支え”だとすれば、高級スーパーは“気分を上げてくれる場所”だ。同じ「スーパー」という言葉でも、その役割はまったく違う。ニューヨークの高級スーパーは、日常品を買う場所ではない。まるで高級ブティックのように、目的がなくても立ち寄りたくなる場所だ。
そこにいる自分が少し好きになれる。そんな感覚を売っていると感じた。そう考えると、1本10ドル以上もするオリジナルドリンクは決して高くないのかもしれない。
取材・文・写真/藤原ミナ
■ Meadow Lane
355 Greenwich St.
営業時間
月~金 7:30–20:00
土・日 8:30–19:00
公式Webサイト
https://www.meadowlane.nyc/
インスタグラム
@meadowlane.nyc
■ Happier Grocery
365 Canal St.
営業時間
月~日 8:00–20:30(変更の可能性あり)
公式Webサイト
https://www.happiergrocery.com
インスタグラム
@happiergrocery
■ Rigor Hill Market
277 W. Broadway
営業時間
月~日 8:00–19:00(変更の可能性あり)
公式Webサイト
https://rigorhillmarket.com
インスタグラム
@rigorhillmarket
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