米移民局(USCIS)は8月18日、グリーンカード申請者に対する「パブリックチャージ(公的扶助)」の審査指針を発表した。対象となる公的給付の範囲を広げる新指針は9月18日に施行され、同日以降に提出される「Form I-485」に適用される。トランプ政権が進める合法移民の抑制政策を象徴する極めて具体的な例となる。

経済的弱者である移民をアメリカから実質的に排除・抑制するのが狙いとみられる。写真はイメージ(photo: Unsplash / Joseph Chan

年齢や健康、資産などを総合的に判断

移民国籍法(INA)は、パブリックチャージに該当する可能性を判断する際、移民審査官が次の5項目を考慮するよう定めている。

  • 年齢
  • 健康状態
  • 家族構成
  • 資産、収入、その他の財政状況
  • 学歴および職業上の技能

審査ではこの他、スポンサーが申請者を経済的に支援することを約束する扶養宣誓供述書「Form I-864」や、公的給付の受給歴なども含め、申請者の状況を個別に総合判断する。特定の給付を受けたことだけで自動的に永住権が拒否されるわけではないが、収入、健康状態、就労能力、家族構成などと合わせて不利な要素として考慮される可能性がある。

公的給付の審査範囲を拡大

新指針では、公的給付を受けた時期によって審査上の扱いが異なる。9月18日より前は主に現金扶助と政府負担による長期施設入所が対象だが、同日以降は住宅支援やフードスタンプ、大学進学のための経済的支援なども考慮される可能性がある。影響はケースによって異なるため、自己判断で給付を中止せずに専門家に相談すること。

家族・雇用ベースの申請者などが対象

原則として、アメリカ国内で永住権への変更を申請する外国人は、法律上の免除対象を除き、パブリックチャージ審査の対象となる。アメリカ国民や永住者の家族、専門職、技能労働者、投資家なども含まれ、家族がアメリカ国民であっても申請者本人が免除されるとは限らない。

難民や亡命者などは原則免除

一方、難民や亡命者、人身取引被害者のTビザ保持者、犯罪被害者のUビザ保持者、特別移民少年、女性に対する暴力防止法(VAWA)に基づく自己申請者などは、パブリックチャージ審査の対象外となる。一時的保護資格(TPS)の申請者や、キューバ調整法など特定の法律に基づいて永住権を申請する人にも免除規定がある。ただし、同じ人物でも申請する制度や移民カテゴリーによって適用の有無が異なる場合がある。

保証金で承認される可能性も

パブリックチャージを理由に不許可となる可能性がある場合、USCISは申請者に保証金の提供を認めることがある。金額は今後5年間に受ける可能性のある政府支援額などを基に決められる。申請者が任意で提出することはできず、USCISから正式な案内を受けた場合に限り、「Form I-945」で手続きをする。

9月18日以降提出のI-485に適用

新指針は9月18日以降に郵送またはオンラインで提出する「Form I-485」に適用される。同日から旧版は受理されないため、提出前にUSCIS公式サイトで最新版を確認すること。

「アメリカンドリームの否定・崩壊」

移民・人権擁護団体は、パブリックチャージの厳格化を、「アメリカンドリームの否定・崩壊」と強く批判。一方、支持派は、自立(Self-Sufficiency)の重視と納税者の負担減の点から、「アメリカンドリームの健全化」と主張している。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法律上の助言ではありません。個別の申請や公的給付の利用については、移民法に詳しい弁護士などに相談してください。