米食品医薬品局(FDA)は8月26日、米バイオ医薬品会社レボリューション・メディシンズの膵臓がん治療薬「ラソンク(Rasonque)」を承認した。膵臓がんの多くに関わるRAS遺伝子変異を標的とする薬で、治療が難しいがんにとって大きな節目となる。承認対象は、他の治療が効かなかった患者。

投与した患者の生存期間2倍に
後期臨床試験では、ラソンクを投与された患者の生存期間は13カ月超となり、化学療法だけを受けた患者のほぼ2倍だった。膵臓がんはアメリカで年間約6万7000人が診断され、患者の約8人に7人が診断から5年以内に死亡する。多くは1年以内に亡くなり、従来は有効な選択肢が乏しく、化学療法が中心だった。
RASは通常、細胞の成長を制御するスイッチとしてオンとオフを切り替えるが、変異するとオンの状態に固定され、がん細胞の増殖を促す。ラソンクは細胞内の補助たんぱく質と結合して複合体を作り、活性化したRASを挟み込んで増殖信号を遮断する。平らで薬が結合する「くぼみ」が乏しいRASは長年、薬では狙えないと考えられてきたが、研究者らは自然界の「分子接着剤」の仕組みを応用して開発に成功した。同社は2022年に患者への臨床試験を開始した。
発疹などの副作用もあり
一方、全身に広がる重い発疹や消化器症状などの副作用がある。価格は月3万9800ドル、年額では47万7000ドルを超える見通しで、保険の適用範囲や自己負担が普及の壁となる可能性がある。レボリューション・メディシンズにとって初の承認薬で、イーライリリーやファイザーも同様のRAS標的薬を開発中だ。今後、より早い病期や別のがんでも安全性と有効性が確認されるかが焦点となる。
今回の承認は膵臓がんを治癒させるものではないが、進行患者の生存期間を延ばす新たな選択肢となる。また、対象となるRAS変異や投与条件、保険適用、自己負担額について、主治医や加入保険への確認が必要となる。
日本では未承認
ラソンクは現時点でアメリカのみの承認で、日本では未承認。ただし、日本人患者を含む国際共同治験が行われており、今後の承認申請が注目される。
















