米移民・関税執行局(ICE)によるニューヨーク市周辺とニュージャージー州での逮捕者数が、この夏に急増している。特に目立つのは、犯罪歴や係争中の容疑がない人々の逮捕が大幅に増えている点だ。地元ニュースサイトのゴッサミストが8月27日、伝えた。

逮捕者の4分の3以上に犯罪歴なし
記録請求で入手したICEのデータを、学術団体デポテーション・データ・プロジェクト(Deportation Data Project)の協力を得て分析したところ、ニュージャージー州では7月に2080人が逮捕された。これは少なくとも過去4年間で最多で、その72%に犯罪歴や係争中の容疑がなかった。一方、ニューヨーク市周辺では7月の逮捕者が919人に達し、今年4月の約2倍となった。こちらも7月の逮捕者の4分の3以上に犯罪歴がなかった。
ただし、ニューヨーク市周辺で今回の逮捕数が過去最高を更新したわけではない。2025年6月には1033人が逮捕され、22年10月以降で最多となった。また昨年秋にも逮捕が急増し、11月には992人に達している。
移民弁護士への締め付けも強化
今回のデータは、移民支援団体などが最近指摘していたICEの活動強化を裏付けるものとなった。背景には、ICEの目撃情報に関する地域のホットラインへの通報増加もある。トランプ政権は、移民裁判を集中的に開いて大量の案件を同時に処理する他、単身で入国した未成年者を支援する移民弁護士への資金が途切れることを許容するなど、強硬な移民政策を進めている。さらに、ハイチやシリアなどから来た数十万人について、これまで認められていた人道的な在留資格を縮小・終了する措置も取っている。
これに対し、国土安全保障省(DHS)は、デポテーション・データ・プロジェクトがデータを「恣意的に選んでいる」と批判、政権は引き続き「最も危険な犯罪者」を標的にしていると主張している。
地域社会全体の安全を損なうおそれ
一方、ニューヨーク移民連合は、逮捕増加は「何よりも強制送還を優先する政権の姿勢」と一致すると批判。ICEへの不安が、仕事、子どもの送迎、医療機関の利用、犯罪被害の届け出などをためらわせ、地域社会全体の安全を損なうと指摘している。
ニューヨーク州では今年、警察機関が連邦移民当局と正式な協力協定を結ぶことを禁じる「聖域都市・州」型の新たな保護策を成立させた。ただし、地元警察とICEとの非公式な協力までは禁止しておらず、今後もその実態が焦点となる。
















