アメリカで、人がどれだけ長く生きるかを示す「寿命」や「健康寿命」に加え、自信を持って自由に動ける期間を重視する新しい考え方が提案された。米ジョージア・サザン大学のリ・リ教授が「ムーブメント・スパン(動ける期間)」と名付け、専門誌「Journal of Sport and Health Science」で発表した。

写真はイメージ (photo: Unsplash / Jacek Dylag)

歩けるだけでは不十分

ムーブメント・スパンとは、周囲の変化に対応しながら、自信を持って安全に体を動かせる期間を指す。単に歩けるだけでなく、人混みをよける、急に止まる、方向を変える、つまずいたときにバランスを取り戻すといった力も含まれる。こうした力は、病気と診断される前から低下することがある。反応が遅くなる、バランスを取り戻しにくくなる、慣れた場所ばかりを選ぶといった変化が、体の衰えを示す早期サインになる可能性があるという。

動かないことで、さらに衰える

体を動かすことに不安を感じると、外出や活動を控えるようになる。その結果、筋力やバランス感覚がさらに低下し、ますます動かなくなる悪循環に陥りやすい。動く力を調べる方法には、普段のペースとできるだけ速いペースで歩き、それぞれの速度を測る方法がある。また、椅子から立ち上がって3メートル歩き、方向を変えて再び座るまでの時間から、体の動きを確認する方法もある。

転ぶ前に変化を見つける

リ教授は、歩き方やバランスの変化を定期的に確認することで、転倒や大きな体力低下が起きる前に、リスクを見つけられる可能性があると説明している。ただし、「ムーブメント・スパン」は新しく提案された考え方で、現時点では医療現場の標準的な評価方法ではない。一方、歩行速度やバランスを調べる検査は、すでに高齢者医療やリハビリの現場で使われている。

長生きするだけでなく、「自分らしく動ける時間をどれだけ延ばせるか」という考え方が、今後の健康づくりや高齢者医療に役立つことが期待されている。