
アート&テクノロジーとファッションを掛け合わせ、日本の美を保ちながら先鋭的なコレクションを作り続けるデザイナー・土佐尚子さん。自身のブランド「Naoko Tosa」の3度目となるニューヨーク・ファッション・ウィーク(NYFW)でのショーが、9月8日にマンハッタン区でおこなわれた。
◆ 日本の美と伝統「Sound of Ikebana」
「Sound of Ikebana (Spring, Summer) 」をテーマに、高度なデジタルテキスタイル技術を駆使し、日本の生花のような繊細でアシンメトリーなフォルムが表現された今回のコレクション。「日本の美と伝統文化を保ち、一方でパラボリックフライトで無重力撮影やデジタルを使った斬新なイメージを取り入れたファッションセンスとアートのメッセージを体現しました」、土佐さんは今回のコレクションに込めた思いを話す。

◆ 注目のインフルエンサーがショーを飾る
また、「Naoko Tosa」は人種・男女・国籍を問わず誰にでも似合うグローバルファッションスタイルが特徴となっており、今回はそんなメッセージを象徴するべく、インスタグラムで1200万人のフォロワー数を持つ、アーティスト/LGBTQ推進者のElton ILIRJANIがメインモデルとして参加。「彼女の作るアイテムは本当に美しい」と熱心に語るElton、肩衣と振袖が合体したドレスを身にまとい、歌舞伎の連獅子のメイクを施し会場を盛り上げた。

そして、そんなEltonから土佐さん自身も影響を受けたといい、「モデルの中で彼だけが私に『なぜ、あなたは、パフォーマンスの注文をしない?』と言ったんです」と、ショー当日を振り返る。
「そこで、私はモデルは歩いてポーズを付ける役目ではない、モデルはパフォーマーなのだと気づきました。その後、各モデルに『君は、忍者なのだ』『君は、ローマ法王なのだ』と言い聞かせ、それぞれにパフォーマンスの演出をすることにしました」

土佐さんがEltonにポーズ指導を行う
◆「退屈なファッションショーに、いかに喝を入れるか」
今にも動き出しそうなデザインの数々に、その世界観、想像力をさらに掻き立てるLED映像。そこにモデルたちの表現が合わさったランウェイの域を越えたパーフォーマンスに、観客からは熱い視線が注がれた。

(photo: Yuto Takeda)
「私の役割は、ファッション界における土星の輪っかのような存在です。私のようなアーティストが、退屈なファッションショーに、いかに喝を入れるかを期待されています」
常に新しく、今存在しないものを生み出す「Naoko Tosa」。今後は日本はもちろんのこと、NYでどのような化学反応を起こしていくのか、ますます目が離せない。
取材・文・写真/ナガタミユ
一部写真/Yuto Takeda
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