ニューヨーク州で2022年、67万2000人に上る不法移民が暮らしていると推定されることが、アメリカの移民と人口統計を調査するシンクタンク「移民問題研究センター」の調べで分かった。調べによれば、ほとんどがアメリカ国内に10年以上住んでいるという。トランプ次期大統領は、不法移民を大量に強制送還することを公約に掲げており、今後の行く末が注目されている。 ゴッサミストが2日、伝えた。

photo: Glenov Brankovic / Unsplash
ニューヨーク市は全米のみならず世界をみても最も移民が多い都市の1つだ。同市民の3分の1以上が移民である上、非正規移民はニューヨーク市の人口の5%を占めている。ここ数年で南米などから流入し亡命を希望する不法移民が一気に増えたことも要因だ。
ニューヨーク州の非正規移民の特徴としてまず挙げられるのは、5人に1人がアジア系という点だ。アメリカではメキシコが不法移民の出身国として最も一般的だが、同州ではそうでもない。アジア系移民の3分の1以上、全体では7%を中国からの移民が占める。また、非正規移民の89%が「多少英語が話せる」と回答した。一方、ニューヨーク市の非正規移民は約41万2000人とみられ、うち60%以上がクイーンズ、ブルックリン両区に住んでいるという。
編集部のつぶやき 「野菜が品不足に、値上がりも」
不法移民の強制送還がアメリカ経済に及ぼす影響について、さまざまな想定がされています。中でも大きな問題になっているのが、カリフォルニアやワシントン、オレゴン州などの農業労働力。移民とアメリカ経済関連のシンクタンク、ニュー・アメリカン・エコノミーのデータによれば、1990年代以降、農作物の収穫に従事する農業労働力は、アメリカ生まれの労働者、外国生まれで帰化した労働者、合法的な外国人労働者、不法移民で構成されており、不法移民のグループは過去30年間で労働力の約40%を占めているとされます。強制送還が実施されたら、まず打撃を受けるのは農業で、私たちのくらしにも直接影響が出ます。野菜や果物の供給不足が起きて価格も高騰するでしょう。(AK)
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