連邦保健福祉省(HHS)のマーシー長官は3日、アルコール飲料のラベルを変更し、「がんになる危険がある」と警告すべきだと勧告した。ウォール・ストリート・ジャーナルが3日、伝えた。

マーシー氏は、飲酒がたばこ、肥満に次ぐ「第3番目のがんの原因」と説明。飲酒により「アメリカ国内で毎年10万人ががんになり、2万人が死亡している。しかし、多くのアメリカ人がこのリスクを認識していない」と懸念を表明。飲酒との因果関係が確認されているがんは、乳がん、大腸がん、食道がん、肝臓がん、口腔がん、咽喉がん、咽頭がんの7種類にも上ると述べた。
成人女性が1週間に1杯飲酒した場合、がんを患う可能性は17%。1日1杯だと22%に上がるという。成人男性では10%から13%だ。「少量の飲酒でもがんになる。歴史的に無視されてきた健康アドバイスだ」と指摘する医療関係者もいる。
これに対し大手ビールメーカーで構成する業界団体、ビール協会は「個人の状況に最も適した選択をするよう奨励する。飲酒を選択する場合は、過度にならないようにすすめる」としている。
また、蒸留酒業界の蒸留酒協議会は、「成人男性が1日2杯、成人女性が1日1杯飲酒をした場合は、全く飲酒をしなかった人より総合的に死亡率が低下する」とする最近の研究結果を指摘。「ライフスタイルの選択肢はさまざまで、それぞれリスクが伴う」として、飲酒のリスクのみを強調することに反対している。
アルコール飲料のラベルには現在、飲酒運転や妊娠中の飲酒、「健康に問題を起こすかもしれない」とする警告が含まれている。このラベルの警告を変更するには連邦議会の承認が必要となる。現在のところ議会の反応は不明。1986年にもがんのリスクを表示しようとする動きがあったが、業界のロビーに遭って立ち消えている。
世界保健機関(WHO)によると、約47カ国がアルコール飲料に健康への警告ラベルを貼っている。韓国ではがんに特化した警告が、アイルランドでは2026年にアルコール製品にがん警告を導入することが決定している。
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