ニュージャージー州ニューアークのラス・バラカ市長は、アメリカ移民税関捜査局(ICE)が令状なしに不法滞在者3人を拘束したと発表した。ザ・ガーディアンが24日、伝えた。

(photo: Ocean Seafood DepotのYouTubeから / https://www.youtube.com/watch?v=BFCL_9aUSsg&t=5s)
市長によると、ICEの捜査員が市内の魚介類卸し会社「オーシャン・シーフード・デポ」を急襲。同社社長のルイス・ジャノタ氏は移民関連書類を提示できなかった従業員3人が拘束されたとしており、「家族もいる勤労者。決して悪人ではない」と話している。市長は「不合理な捜査や逮捕を禁止した米国憲法修正第4条に明らかに反している」と指摘している。
20日就任したトランプ大統領は、不法滞在者取締強化の公約実行に早々と着手。ICEは23日、これまでに538人を逮捕したと発表。同政権の報道担当者もこの538人は「不法移民で犯罪者」とX上で説明しており、「数百人」を軍用機で国外に強制送還したと続けている。トランプ政権の1期目では2019年に、ミシシッピ州の鶏肉加工工場で不法移民680人を摘発したこともある。
ゴッサミストが先ごろ伝えたところによると、2024年の調査でアメリカには不法滞在者が約830万人。労働者の5.2%を占め、その内、100万人がレストラン関連という。ニューヨーク市内でも70万人の不法滞在者が働いているとの2022年の分析がある。加えて市内には20万人の越境者が流入した。
一部の企業では不法滞在者の解雇も始まっている。市内でレストランなどを運営する「シーポート・エンターテインメント・グループ」はE-Verifyなどを使ってバックグラウンドチェックを強化。多くの従業員の雇用を停止した。「2日間休んだ後、出社してみたら、オフィスの半分がいなくなっていた」との目撃談もある。
ただ、トランプ政権で新しく設置された政府効率化省の責任者イーロン・マスク氏は「世界中から優秀な人間を集めなければ、アメリカは敗北する」としており、不協和音も聞こえている。不法移民の逮捕・強制送還で、賃金は上がり、レストラン業界は成り立たなくなるとの懸念の声もある。
セレブシェフで非営利団体「ワールド・セントラル・キッチン」を運営するホセ・アンドレス氏は「移民はアメリカ経済の一部」とコメント。「トランプ氏にしても、自分のワイナリーやホテルを経営するには移民の助けが必要。だから、大規模な摘発はないのではないか」との見方を示している。
編集部のつぶやき
ドキュメントを持たないレストランサーバーの友人が「ICEが来たらと思うと出勤していいのか怖くなる」と話していた。このシーフードマーケットのオーナーも、事件がきっかけで出勤しない従業員が出ることを予想し、ビジネスに支障を来たすと嘆く。不法移民は移民の6割を占め、アメリカ経済には欠かせない存在。今後大きな打撃が私たちの生活にもありそうだ。(K.T.)
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