インド、南ア、トルコ、ブラジルも老人
近年は「グローバルサウス 」「G20」「BRICS」といって、新興国の台頭が目覚ましいが、ここでもまた70歳以上のリーダーが幅を利かせている。
なんといってもいちばんに挙げなければいけないのは、米中、米ロ対立を巧みに利用して、国益優先コウモリ外交を行っているインド首相のナレンドラ・モディだ。74歳の狡猾老人である。
インドは世界一の民主国家などというのは名ばかりで、モディはヒンドゥー極右団体「民族義勇団」(RSS)の元運動家で、ヒンドゥー至上主義者だから、トランプ、プーチンとも手玉に取られる可能性がある。
トルコ大統領のレジェップ・エルドアンも70歳である。リラを暴落させた明らかな経済失政にもかかわらず、前回選挙に勝ち、独裁を続けている。EU加盟を取引条件にスウェーデンのNATO加盟に反対したりするのだから、欧米は手を焼いている。
南アフリカ大統領のマタメーラ・ラマポーザは72歳。ロシアの経済制裁には応じず、いまだに「ロシアは価値ある友人だ」と言っている。とんでもない指導者だ。
高齢と言えば、ブラジル大統領ルーラ・ダ・シルヴァは、なんと、トランプより年上の79歳。極右のボルソナロ前大統領とは正反対の左派。最大の貿易相手・中国と友好関係を保ち、バラマキ政策を続けている。
高齢になればなるほど、政治家は頑迷になり、左派、右派とも極端化していく。これでは、対立が深まるだけで、世界はたまったものではない。
「G7」で日本の石破はトランプの次に高齢
ここで、先進国グループとされる「G7」を見てみよう。以下、国とリーダー、年齢を列記する。
アメリカ:トランプ大統領(78歳)
日本:石破茂首相(67歳)
ドイツ:オラフ・ショルツ首相(66歳)
英国:ロドニー・スターマー首相(62歳)
ジャスティン・トルドー首相(53歳)
エマニュエル・・マクロン大統領(47歳)
ジョルジャ・メローニ首相(47歳)
なんと、日本の首相、石破茂は、G7でトランプに次ぐ高齢である。トランプとは10歳以上、マクロン、メロー二というヨーロッパの若きリーダーとは20歳も違う。これでは話が合うわけがない。もっとも、年齢以上に、彼には外交に重要な社交性が欠けている。
日本は高齢者による「老害政治」の超先進国
もう何年も前から、日本の政治は「老害政治」になっている。その結果、「シルバー民主主義」などという言葉も生まれた。老人が老人向けの政治を行い、若者は置き去りにされている。
トップの高齢化はもとより、閣僚、議員も高齢者ばかりになっている。おまけに、圧倒的に女性が少ない。
10月の衆議院選挙の結果を見ると、当選者の平均年齢は55.6歳と高く、20歳代の当選者はたった3人である。ちなみに、最年長は自民の麻生太郎の84歳。次が立憲民主党の小沢一郎の82歳である。
世界各国の議会のデータを調査している機関「IPU」(Inter-Parliamentary Union)のデータを見ると、日本では40歳以下の国会議員の比率がたったの6%。30歳以下になると0.2%と著しく低く、いずれも、OECD加盟国のなかで最低である。
閣僚の平均年齢61.95歳による「老害政治」
2024年10月の衆議院選挙を経て、11月に「第2次石破内閣」が発足した。その顔ぶれを見ると、やはり、老人だらけだ。
石破総理と19人の閣僚の平均年齢は、61.95歳と、60歳を超えている。最高齢は地方創生担当大臣に再任された伊東良孝で75歳。最年少は国土交通大臣に起用された中野洋昌で46歳。年代別に見ると、70代が2人、60代が12人、50代が4人、40代が2人。
まさに、老人内閣、いや「老害内閣」「老害政治」と言っていい。
さらにひどいのは、女性閣僚が文部科学大臣の阿部俊子(65歳)、特命担当大臣の三原じゅん子(60歳)の2人しかいないことだ。
女性閣僚がこれまで最多だったのは、5人。第2次岸田内閣のときで、閣僚数が20人だったから、女性比率は25%となった。しかし、これは「少なすぎる」という批判に応えた一時的なものにすぎず、今回また2人に戻ってしまった。
この続きは1月30日(木)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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