ワシントン初代米大統領の誕生を祝うはずのプレジデンツ・デーの17日、全米で多くの市民が「私の大統領ではない(#notmypresident)」と、トランプ政権に反対するデモに参加した。ニューヨークでは零下の極寒の中、1万人超がユニオンスクエアからワシントン・スクエア・パークまで行進。「ファシズムは要らない」「イーロン・マスクを強制送還せよ」と「恐怖政治」といわれるトランプ大統領のホワイトハウスを批判した。

「ノー・クーデタ」という手製カードを掲げた国連関連のコンサルタント、ケリーさんは、アメリカからの開発支援を受けてきたクライアントが打撃を受けているという。
「デモに来るのは怖いこと。でもアメリカの民主主義のために立ち上がらないと。トランプ政府による民主主義の破壊行為は許せない」と真剣な表情で話す。
デモ参加者は、白人のベビーブーマー世代がほとんど。2021年に広がった「黒人の命は大切だ(Black Lives Matter=BLM)」運動の主役だった若い人や人種的マイノリティーの参加は極めて少なかった。ケリーさんも含め参加者の一部は、この日のデモに対するトランプ支持者などの攻撃を恐れた市民は少なくないと証言した。
「私の大統領ではない」と同時に「大統領の日に王は要らない」というキーワードも多くの手製プラカードに登場。ワシントン、カリフォルニア、テキサス、フロリダなど全米18州で同時多発的にデモが起きた。デモを呼びかけた団体「50501ムーブメント」などは、「トランプ政権の民主主義と法に反する政策と、金権政治に便乗する賛同者たち」に反対するのが目的としている。
マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE=ドージ)は、全省庁に対し「多様性、公正、包括性(DEI)」に関する雇用やプロジェクトを廃止するよう通達。各省庁は、使用期間中の職員を含む数万人に電話で解雇を伝えた。ロイター通信によると、退役軍人省で1000人、森林省で3000人がすでに解雇通知を受けた。
またDOGEは、内国歳入庁(IRS)の納税者データへのアクセスを試みており、非常に機微に触れる個人情報であるために問題視されている。(津山恵子)
編集部のつぶやき
聖域都市ニューヨークにもじわじわと忍び寄る恐怖感はもちろんですが、今回のデモに参加しなかった人たちの理由としては、重罪34件で有罪となり、選挙結果を覆そうとキャピタル(連邦議会議事堂)襲撃を扇動した人間が大統領に返り咲いたことに対する「どうしようもない無力感」もあるのではないかと思います。(A.K.)
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