日本の若者がNYファッションウィークに進出 「一生デザインをしていたい」「ショーははかなく、一瞬」学生たちが口にした言葉たち

「アジア・ファッション・コレクション(Asia Fashion Collection)」にて
アジアの若手デザイナーの登竜門とされる「アジア・ファッション・コレクション(Asia Fashion Collection)」が先日、ニューヨークで開催された。全5ブランド中、3ブランドを日本の学生ブランドが占め、感度の高いファッショニスタたちから熱い拍手が贈られた。

今回で12回目となる「アジア・ファッション・コレクション」は、日本や韓国、台湾などのアジア各国の若手デザイナーを発掘するために行われているプロジェクトで、制作費や渡航費などをコレクション側が負担して、未来ある若者にニューヨーク・ファッション・ウィークをはじめとするショーや展示会などへの出場をサポートしている。

その一環に今回のランウェイがあり、出場権をかけたコンテストが2024年秋に実施され、日本からは3ブランドが選出。大阪文化服装学院4年生の芳賀陽介さんが手がける「yousuke haga」、3年生の世良洸稀さんと河村小太郎さんが手がける「Bill Bill」、そしてバンタンデザイン研究所・東京校の小松大空さんが手がける「Little Bedroom」がニューヨークへとやって来た。

現地入りしてから4日間、コンテストの予選から合わせると約1年ほどの準備期間をかけて臨んだショー。3ブランドのデザイナー全員が初のニューヨークという緊張の中、コレクションを披露した。
ブランドの「白」というコンセプトにカラフルな服をまとった観客との対比が面白かったと語る「Bill Bill」の河村さんは、「終わってみると、本当に一瞬だった。この一瞬のためにこれだけ多くの人がショーを作っているというのがはかなくて素晴らしいと思ったし、僕らのブランドが今後どうなっていくのであれ、これまでのプロセスで培った軸は大事にしていきたい」とコメント。


また、初のランウェイで「ショーの貴重さを感じた」と話すのは「yousuke haga」のデザイナー芳賀陽介さん。「終わった〜!という感じ。出来事としては早かったですが、一次審査から見るとすごい時間がかかっているので、この一瞬のためにこんなにも長い時間とたくさんの人が動いているんだ、と実感。これまで、コレクションは発表していてもショーはやったことがなかったので、現場の知識とショーに向けた服作り、その2点はめちゃくちゃ勉強になりましたね」

ちなみに芳賀さんの今回のコレクションのテーマは、「Night Hawks(ナイトホークス)」。20世紀のアメリカ画家エドワード・ホッパーの代表作の一つから着想を得たそうで、夜中に1人で散歩をするのが好きな芳賀さんが感じる「夜に輝くものたちの美しさ」を表現したという。

「僕にとって夜の世界は、いちばん自分らしくいられる場所。仕事や生きていく上ではファッションが自分にとっての『夜の世界』。今回のコレクションを通してようやく自分らしくいられる環境を見つけたなと思っていて、きれいな終わり方ができたのではないかと」

今後の夢は?との問いに「一生デザインしてたいなっていうのしかなくて…」とうれしそうな笑顔を見せてくれた芳賀さん。時間を紡いで完成させたコレクションをニューヨークのランウェイで披露。彼らが口にした「はかない」という言葉には、未来への期待やこれまでの軌跡、さまざまな思いが込められていた。
取材・文・写真/ナガタミユ
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