ルーズベルト島とマンハッタンを結ぶロープウェイ「トラムウェイ」。その運営会社の元広報担当者が約17万ドルを使い、SNS上の悪い口コミ対策を実施していたことが判明した。州の資金で「言論の自由を抑圧した」などと批判が高まっている。ゴッサミストが5日、伝えた。

トラムを運営しているのはニューヨーク州公益法人「ルーズベルト島運営会社」。州監察官(OIG)のルーシー・ラング氏によると、イメージ向上目的でPR会社と契約。約17万ドルで、悪い口コミに対応していた他、元幹部職員の個人的評価を向上させる努力も実施していた。同監察官は「州の資金で、言論の自由を抑圧し、言論を操作。民主主義の根幹を揺るがす行為」と批判している。
ルーズベルト島運営会社はその存在があまり知られていない。幹部職員は州議会が指名する。主な仕事はトラムウェイの運営だ。元広報担当職員のアキーム・ジャマールさんはPR会社の「Status Labs」と契約。良い口コミや記事を書かせ、複数のSNS上に投稿していた。その結果、グーグルなどで悪い口コミの検索順位が下がったとOIGは指摘している。さらに、ジャマールさんに対する個人的な悪い評価についても検索順位が下がるように工作していたという。

トラムはマンハッタンの観光スポットの一つ。観光客が押し寄せ、待ち時間が長くなっているなど、苦情が住民から上がっている。「連休中のディズニーランドのよう」と口を尖らせるのはルーズベルト島に住んで6年というニコール・イジャックさん。「観光公害で地獄化したトラムはこりごり。家に戻るのに別の方法を模索しているところだ」と続ける。
ルーズベルト島運営会社はコメントを拒否している。
編集部のつぶやき
「地下鉄と同じ料金でマンハッタンを空中散歩できる」と観光客に大人気のトラムですが、当のルーズベルトアイランド住民たちにとっては大迷惑…(小声)。桜が有名ゆえ、花見時期の混雑は特にひどく、トラムに乗るために何十分と行列に並ぶことも。島在住の筆者は、行列に絶望してレキシントン63丁目(地下鉄駅)まで歩いて地下鉄経由で帰ったことも数知れず。「住民専用レーンを作ってほしい」という声が何年も前から上がっていますが、未だ実現していません。(K.I.)
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