2025年4月25日 2025年の特集 日系教育機関特集 4月:教育特集号 SPECIAL

ニューヨーク補習授業校

ニューヨーク補習授業校は、開校以来60年以上の歴史があり、日本国政府や企業の支援を受け、文部科学省から派遣された管理教員の指導監督の下、日本の学習指導要領に沿った学習指導をしています。日本国内の小中学校および高等学校への編入、進学の際に適応できる力を養うこと、また、家庭学習だけでは得られにくい学校の授業で使えるレベルの日本語力を習得させること、日本文化を身に付けたグローバルに活躍できる人材を育成することを目指しています。

初等部が幼児部に読み聞かせ

幼児部から高等部まで2地区で開校

ベイサイド(LI校)とポートチェスター(W校)にある二つの地区校で、現地校を借用して週1回土曜に授業を実施。幼児部年中から高等部2年までの約600人が現地校と両立させながら学んでいます。幼児部が「お店屋さんごっこ」を行う同じ校舎内で、高等部が三角関数を学ぶ光景も日常となっており、初等部が幼児部に読み聞かせをしたり、高等部が中等部に数学を教えたりするなど、異学年の交流も積極的に取り入れています。

日本語を話す仲間と学ぶ

国語・算数(数学)を中心に、日本と同じ教科書や教材を用いて、日本語を話す仲間と学ぶことで、生徒は生活言語だけでなく学習場面で使える日本語を習得、保持、発展させています。週1回の土曜が、日本語で理解し、考え、表現する貴重な時間となっていることは間違いありません。また、異文化の中で生活する生徒にとって、自己確立と心の安定を図る場にもなっています。

保護者会の支援の下、教科の学習だけでなく、運動会、七夕、書き初めなど、日本の学校文化および伝統文化や行事などにふれる機会の設定にも力を入れています。日本の学校では失われつつある日本文化の学びを、アメリカにある補習校だからこそ大切にしています。中高等部では、生徒会活動の中で生徒たちが自主的に企画したバザーや球技大会などの活動を積極的に取り入れるなど、生徒の自己肯定感や自己有用感を育てることにも力を注いでいます。2024年度は両校のバザーの収益金8400ドル余りを能登半島地震および豪雨の被災地に義援金として送り、生徒たちは大きな達成感をもつことができました。

2025年度より、日本のAIドリルを新しい教材として導入しています。これにより家庭でもオンラインで社会科や理科も含めた日本の学習を自分のペースで進めることができます。また、日本語が得意ではない生徒の学習にも有効な国語のデジタル教科書を在校生は学校を通して購入できます。二つの地区校はどちらも日本語の蔵書を多数持ち、貸出しを行っています。日本語の本を借りて読むことを楽しみにしている生徒も多く、「日本語の本を無料で借りることができるのはとてもうれしい」という声を保護者からいただいています。

日本の教科書で学ぶ
日本語を話す仲間と学ぶ

W校保護者会令和6年度中高等部副会長 鎌田 章代

ニューヨーク補習校は、日本語教育と国際性を育む魅力あふれる学び舎です。日本の教科書を使い、文部科学省の学習指導要領に基づき、経験豊富な教師陣が分かりやすい授業を行います。また、運動会や七夕祭り、中高生による蚤の市など、日本の伝統行事を通して、文化や習慣を体験できます。幼児部から高校生まで同じ校舎に通い、多様なバックグラウンドを持つ仲間との交流は、将来の可能性を広げ、かけがえのない財産となるでしょう。
 保護者の皆様は授業参観、懇談会やボランティア活動を通してお子様の生き生きとした姿を見ることができます。そして、現地の習い事や生活の情報交換の場となります。

LI校保護者会令和6年度秋祭り委員長 梅原タカオ

海外での日本語学習にはさまざまな方法がありますが、補習校の真の魅力は、通ってこそ実感できます。日本の子どもと同じ教科書を使い、漢字も体系的に学べるため、しっかり勉強すれば確かな力が身に付く環境です。また、秋祭りや運動会、餅つき大会などを通じて、日本文化を肌で感じられるのも大きな魅力。幼児部から高校生までの縦のつながりが自然なロールモデルを生み、長く通うことで恩師との再会も楽しめる温かいコミュニティーが築かれています。
 保護者同士の交流も深く、ボランティア活動を通じて送迎以上の絆が生まれ、親のつながりが子どもたちの友情や学習意欲を後押しします。補習校は、同じルーツを持つ家族が海外でつながれる貴重な場所。通って初めて、その価値に気づくかけがえのない存在です。

ある日の「学校だより」から

土曜日は日本語で学んでいます 「今週もがんばったね」

補習校に通う子どもたちは、平日は現地校へ行き英語で学び、土曜日は補習校に来て日本語で学んでいます。土曜日になると朝から補習校に通う、それを毎週続けている子どもたち(と保護者の皆さん)には、下校時に「今週もがんばったね」と声をかけたくなります。そして、せっかく土曜日にまで学校に来ているので、できるだけ多くのことを学び、吸収してほしいと思います。

今回は、LI校での授業の様子を紹介します。

入学して2か月半が経過した初等部1年生の教室では国語の授業をしていました。教室の前に立ち、1人ずつ自分の好きな動物と好きな理由を発表していました。恥ずかしそうに話す子もいましたが、全員がみんなの前で発表できました。

中等部3年生は数学の時間に因数分解の復習をしていました。現地校で学んだことも生かしながら解法の説明をしようとしていました。数学的な考え方や活動は、現地校でも同じような学習をしていることが想定されますが「展開する」「因数分解する」「代入する」など、日本語でも理解し、説明することで、学んでいることがより確実に身についていくと感じました。土曜日も補習校で学び続ける子どもたち(と保護者の皆さん)を応援しています!
※「学校だより」は、学校ホームページで閲覧可能

Tel 914-636-3770(事務局)
56 Harrison St, Suite 503, New Rochelle, NY 10801
https://www.jwsny.org/

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