ミネソタ州セントポール出身のトランス黒人男性、サム・ノードクイストさんはSNSを通じ、心を通わせるガールフレンドを見つけた。会いに出かけたのが昨年9月。その5カ月後、ニューヨーク州カナンデイグアのモーテルから15マイル離れた人気のない茂みの中で遺体として発見される。24年の人生だった。ニューヨークタイムズが22日、伝えた。

(photo: New York State Police – Original publication: Undated Immediate source: https://www.nbcnews.com/news/us-news/sam-nordquist-killing-room-22-rcna194129, https://en.wikipedia.org/wiki/Killing_of_Sam_Nordquist#/media/File:Sam_Nordquist.png)
ガールフレンドとされる女はプレシャス・アルズアガ容疑者(38)。共犯者6人とともに、ノードクイストさんを数週間にわたり拷問し死亡させたとして第一級殺人罪に問われている。アルズアガ容疑者の7歳と12歳の子どもも拷問に加担させられていた疑いがある。ノードクイストさんの家族は悲しみと怒りの中で、「どうしてこんなことに」と答えを探している。
ノードクイストさんは自分のプライバシーを公にし、常にスマートフォンを手放さず、TikTokへの投稿やライブ配信に没頭していた。社交的に見えたが、実はひとりぼっち。「愛に飢えていた」と友人は話す。そこにつけ込んで接近したのがアルズアガ容疑者だ。「子どもたちが愛しくて仕方がない」とするSNS上の投稿は虚像。実は、嫌がらせ、家庭内トラブル、窃盗、暴力の脅迫などに関する警察報告書に約200件名前が記載され、少なくとも8回逮捕されていた。過去の恋人たちは、男性も女性も例外なく「人を操るのに長けており、凶暴」と証言している。
警察によるとアルズアガ容疑者は、シェルターとして使っていたモーテルの一室にノードクイストさんを監禁。今年の1月1日からは殴る蹴るの他、性的暴行を加え、食事や水を与えない、糞尿を強制的に摂取させるなど残虐かつ悲人道的に扱い、2月2日に殺害するに至ったという。
同事件は現代の若者、特に性的少数者の孤独が背景にあると同時にSNSでの出会いの危うさを浮き彫りにしている。ノードクイストさんはSNSの罠にはまってしまったのだ。
ノードクイストさんは3月3日、ミネソタ州の実家近くに埋葬された。容疑者は全員、罪状を否認している。裁判の日程は決まっていない。
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