クリスチャン・ディオールやシャネルなどパンデミック中に価格を引き上げた超高級ブランドの売り上げが落ちている。これらのブランドはこれまで、経済状況に関わらず安定した売上を維持してきたが、現実はそう甘いものではなかったようだ。5月28日付のウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。

ディオールは0.13%の増益、世界最大のラグジュアリー企業LVMHは0.62%の減益で、年初の3カ月間で予想外の大幅な売上減を記録した。LVMHはディオールの数値を個別に開示していないが、同ブランドは同社のファッションとレザー部門全体よりも業績が劣ったと述べ、同部門の売上高は前年比5%減少した。シャネルも苦戦している。非上場企業だが、過去8年間は年次決算を公表しており先週、2024年の売上高が4%減少し、営業利益がほぼ3分の1に急落したと発表した。
一方、エルメスとカルティエの親会社リシュモンは依然として健全な成長を続けている。両社の売上高は25年最初の3カ月間で前年同期比7%の増加を記録した。同社のブランドは、消費者から高価すぎると見なされる競合他社のブランドからシェアを奪っているようだ。
4社は全て高級品業界のトップに位置付けられ、景気後退時に需要が減少する「憧れ層」の消費に依存していない点が共通しているが、価格設定戦略では違いが見られる。ラグジュアリー企業はパンデミック中に過剰な貯蓄が需要を急増させたため、20年から23年にかけて価格を平均36%引き上げた。これは当時のアメリカ全体のインフレ率の約2倍に相当する。ディオールとシャネルはさらに踏み込み、それぞれ51%と59%の値上げを実施。シャネルの「クラシックフラップ」ハンドバッグは、19年に中型サイズで5800ドルだったが、現在は1万800ドルに跳ね上がっている。
同期間中、エルメスはより控えめに価格を20%アップ。保守的な経営方針を貫く同社は、原材料費の上昇を顧客に転嫁しているが、価格引き上げを成長の手段として利用していないと主張している。リシュモンのヨハン・ルパート会長は最新の決算発表で、「2〜3年前は貪欲に値上げしなかった。現在の成果はその反映だと考えている」と述べた。現時点でリシュモンは値上げを発表していないが、アメリカでのブランド需要は十分強いため、値上げの可能性もあるという。
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