最近、本当に衝撃を受けたのは、戦争がハイテクによって、これまでとまったく変わってしまったことだ。ウクライナのドローン攻撃によるロシア空軍の大損害、印パ戦争におけるインド空軍の惨敗は、まさにそれを物語る象徴的な出来事だった。
戦争がここまで変わってしまったのだから、社会もビジネスも変わる。経済も金融・投資も変わる。変わる原動力はもちろんAIだ。いまやAIはどんどん進歩し、ついに「自律型AI」(Agentic AI)の時代がやってきた。
いったい、自律型AIとなにか? それによって、この世界はどう変わるのか?
専門外だからいいやと思う私でも、ある程度理解しないといけないと悟り、今回は、いろいろ調べて、以下、まとめてみた。

ロシア国内潜入作戦によるドローン攻撃
まずは、6月1日、ウクライナ・ロシア戦争で起こった画期的な出来事、ウクライナのドローン攻撃によって、ロシアの飛行場4カ所が攻撃され、戦略爆撃機など41機が破壊されたこと(ウクライナ側発表)だ。被害額は日本円換算で約1兆円とされ、ロシアはこれまでになかった大きな損害を受けた。
しかも、この4カ所の飛行場は、みな、ウクライナとロシアの国境から遠く離れたロシアの内陸部にあり、もっとも遠いイルクーツク州のベラヤ空軍基地は、なんと4500キロも離れていた。
つまり、これはウクライナの特殊部隊による「潜入作戦」で、ドローンはある時点で工作員によりロシア国内に運ばれ、基地近くに隠されて配備されていた。そして、遠隔操作によって、一斉に攻撃が行われたのである。
当初、SNSに投稿された画像には、トラックから飛び出すドローン、攻撃を受けて立ち上る黒煙、また、トラックが自爆する様子などが映っていた。そして、ウクライナ公開した画像には、自爆攻撃するドローンが自ら撮影したロシアの爆撃機などが、生々しく映っていた。
低空からのドローン攻撃に対して無防備
専門家の分析を紹介した報道を見ると、このようなドローン攻撃は、地上での情報収集はもちろんのこと、衛星からの目標に関する情報も必要となる。そして、その目標へドローンを誘導するのも衛星なのだという。そして、そのプロセスを統合して分析、判断するのはAIである。
つまり、この攻撃には最先端のハイテク技術が駆使されていて、いまやそれなしでは戦争ができないことを物語っている。
ロシアはまさか、内陸部奥深くの基地が攻撃されるとは思っていなかった。そのため、ドローンによる低空からの攻撃に対する備えがなかった。重機関銃が有効とされるが、それが配備されていなかったという。
また、ドローンの遠隔操縦には、スターリンクなどのシステムが必要だが、今回は追跡が難しいロシアの携帯電話システムが利用されたのではないかという。
トランプはこの攻撃を知らされていなかったとされ、プーチンは攻撃に狼狽、激怒して、トランプとの電話会談で、「必ず報復する」と伝え、それを実行した。しかし、それは都市の民間施設へのミサイルとドローンによる夜間攻撃で、ロシアのハイテク技術が劣っていることを思わせた。
最新鋭戦闘機ラファール3機が撃墜される
続いては、印パ戦争の空中戦で、パキスタン空軍がインド空軍を撃破したことだ。2025年5月7日、約1時間にわたって闘われた空中戦は、近年では稀な、戦闘機同士の大規模な戦闘だったが、勝ったのは予想に反してパキスタン空軍だった。
パキスタン空軍の戦闘機は中国製のJ-10CE。これに対して、インドは満を持して投入したフランス製の最新鋭のラファール戦闘機。しかし、ラファールはあっけなく3機が撃墜され、さらに、ロシア製のSu-30MKI(製造はインド)とMiG-29各1機まで撃墜されてしまった。
これは、世界中の軍事関係者に大きな衝撃をもたらした。
というのは、初めて戦場で披露された中国製PL-15 BVR空対空ミサイルの威力はもちろんのこと、現代最高とされるラファエルのSPECTRA(ミサイル防御システム)が、まったく機能しなかったからだ。
この続きは7月10日(木)発行の本紙(メルマガ・ウェブサイト)に掲載します。
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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