関西では「バッタもん」と呼ばれるブランド品の偽造品。業界では今、「スーパーフェイク」と呼ばれる新しい世代の偽造バッグが流通している。X線装置を通さない限り、本物と全く見分けがつかないほど精巧で、価格は500〜5000ドルと幅広い。
偽造業者はWhatsAppやTelegramなどの暗号化サービスで注文を受け付け、リアルタイムの顧客サービスを提供し、ブランドの箱に入れて自宅まで配送する。ウォール・ストリート・ジャーナルが12日、スーパーフェイクを取り巻く事情をレポートしている。

高級ブランドは、本物のハンドバッグの製造方法を記載したデジタルテンプレート「テックパック」に、製造手順を保存している。テックパックが産業スパイの手に渡ると、偽造業者は簡単にコピーを製造できる。生産を外部委託する傾向が強まるほど、情報が工場から漏れるリスクも高まる。
ブランド保護機関ラウス(Rouse)広州拠点の調査員、ジェームズ・ゴデフロイさんによると、最高級の“スーパーフェイク”バッグは、大手のファッション小売業者向けの正規製品を製造する中国の工場で生産。夜になると、幽霊シフトが偽物を製造するという。
以前は偽物のハンドバッグが大量の荷として到着し、税関での摘発が容易だったが、偽造業者が消費者に直接販売するようになったため、個別のパッケージが大量に流入し、税関当局を圧倒し、検査をすり抜けている。
「フェイク」ではなく「レプリカ」
偽造業者はSNSのインフルエンサーに報酬を支払い、アメリカやヨーロッパの消費者に対して違法な商品を直接宣伝する。この手法は、偽造業者の不透明なイメージをロンダリング(清浄)するのに非常に効果的で、バッグについて話す言葉も変化している。「フェイク」という言葉は使われなくなり、代わりに「レプリカ」「ミラーバッグ」「スーパークローン」または「1:1(ワン・トゥ・ワン)」と呼ぶようになった。
「ヨーロッパの同じサプライヤーから革を調達し、寸分違わぬデザインのレプリカが600ドルで手に入るのに、なぜ1万ドル以上も払って本物のシャネルのフラップバッグを買う必要があるのか?」
オーストラリアを拠点とする高級品マーケティングの専門家で、スーパーフェイク現象を研究するマリアン・マッカールさんは、ジェネレーションZの間で「高級ブランドに中指を立てる方法」として、レプリカ購入が広がっていると指摘する。
本物のラグジュアリーブランドへの冷めた態度が、業界の売上高に打撃を与える兆候も表れており、コンサルティング会社ベイン(Bain & Co.)のデータによれば、ジェネレーションZが昨年ラグジュアリーブランドに費やした金額は、2023年と比べて約50億ドル少なかった。
偽造業者にとっては、消費者のスーパーフェイクに対する態度の変化は「渡りに船」だ。彼らは現在、高価なラグジュアリーブランドよりも経済的に賢明な代替品として商品を販売している。
偽造品愛好家は将来の顧客?
高級ブランドも手をこまねいているわけではない。偽造業者の動向を調査するため、民間調査員に情報を収集させ、偽造業者が取引を行うオンラインフォーラムに偽のアカウントを作成し、工場に潜入調査を敢行している。
また一方で、高級ブランド会社の中には「偽物は本物を購入するきっかけとなる薬物」と捉える向きもある。ロンドンを拠点とするPRマネージャーで、ルイ・ヴィトンとグッチの販売員だったブリージ・エルダーさんは、「ブランド店に偽物のハンドバッグを持ってくる人はかなりの数に上ったが、偽物を指摘しないのは暗黙のルールだった」と振り返る。「偽物について触れることはタブー。世界一ひどい偽物も、最高級品(本物)も同じ」とエルダーさん。「彼らは今、偽物を持ってはいるが、将来は顧客になる可能性があるのだから」
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