米市民権・移民局(USCIS)は4日、合法的な在留資格を持たない移民、いわゆる不法移民が配偶者や家族を通じてグリーンカードを申請した場合、強制送還手続きの対象となる可能性があるとの新たな方針を発表した。NBCニュースが6日、伝えた。

USCISは声明で、「詐欺的、軽率、またはその他の正当な理由のない家族ベースの移民ビザ申請は永住権取得プロセスへの信頼を損ない、アメリカの移民制度を弱体化させる。USCISは、資格を有する婚姻関係や家族関係が真実であり、確認可能であり、適用される全ての法律に準拠していることを確保しなければならない」と警告。
方針は2025年8月1日以降に申請されたケースだけでなく、それ以前から保留中のケースにも適用されるとした。グリーンカードの審査には数カ月から数年かかることも多く、プロセス中に合法なビザステータスを失うことで、正しく申請を進めている移民でさえ移民法廷に立たされる可能性が出てきた。
移民権利擁護の専門家は、グリーンカード取得の重要な手段の一つを「狙い撃ちにしてきた」と非難。「新しい政策は非常に広範で、グリーンカード申請者に対して、手続きのどの段階でも退去手続きを開始する権限をUSCISに付与するであろう」と推測する。グリーンカード取得までの待ち時間は、申請の提出場所や申請書に記載された家族関係の種類など複数の要因により大きく左右されることもあると指摘している。
政策変更はトランプ政権の大量送還政策と一致している。違法に入国し現在グリーンカードを取得して滞在を継続する手段を求めている移民だけでなく、グリーンカード申請の審査結果を待つ間にビザステータスが失効する人、ドリーマーなど数十万人の移民が影響を受けることになりそうだ。
編集部のつぶやき
雇用ベースや芸術家ビザなどでグリーンカードが取得できない人の最後の手段は「結婚」。合法的なステータスが必要な移民にとって利害が一致する結婚、いわゆる「マリッジ・フォー・コンビニエンス」とはもっぱら、グリーンカード目的の結婚のこと。ちなみに20年前の「グリーンカード結婚」の相場(謝礼金)は約3万ドル。ジェラール・ドパルデュー、アンディ・マクダウェル主演、1990年公開の映画「グリーンカード」もヒットしましたよね。(A.K.)
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