
20年たっても、アメリカの暮らしは、まだまだ新鮮ですね。これまで2回にわたって、そんな「驚き」を書いてきましたが、最終回の今回は、まだまだある「驚き」を10個挙げてみました。

1)自分の子どもをほめる ー 自分の子どもをほめるのは自然なことで、「子どもの自信を育てる」大切な行為とされています。
2)自分の外見をほめられたときの反応 ー「ありがとう」と素直に受け取るのが普通です。「いえいえ、そんなことないです」という謙遜は不要です。
3)引っ越し時のあいさつ ー 近所の人が、プレゼント(お菓子や花など)と連絡先を持って、あいさつに来てくれます。
4)口で感情を表現 ー アメリカでは「口」を中心に感情を表現します。 写真を撮るときや笑うときに歯を見せて笑うのが普通で、顔文字も「口」で表現されるものが多く、😊 や :), :P, :D などがあります。一方、日本では「目」で感情を表現する顔文字が多く、(^ ^), (^_^), (≧▽≦) などが一般的ですよね。
5)飲酒文化ではない ー 仕事終わりの「一杯」は本当に一杯だけ。でも週末のバーベキューパーティーなどでは、それなりに飲みます。プライベートと仕事をきちんと分けているように感じます。
6)サービス業でも、“お客様は神様”ではない ー 個人の権利と平等が強調される社会なので、店員と顧客は本来「対等な立場の人間」であるとの前提。むしろ顧客の方が、店員に気を遣ったりしているような… 最近は、チップも「選択」ではなく「義務」となりつつあります。
7)星条旗を掲げる家が多い ー 国旗掲揚は愛国心の表明の他、国家的イベントとの結び付きと軍や退役軍人への敬意を意味します。何よりも多民族国家だからこそ、国旗がアメリカ人であることを示すシンプルで強力な「連帯」の象徴となっているのかもしれません。
8)学校行事やアクティビティーの父親参加率が高い ー 子どもの学校行事やチームスポーツ・イベントにお父さんたちが積極的に参加します。コーチより熱心に口を出すお父さんもいて、ときにはお父さん同士、コーチと口論になることもあるほどです。

9)子どもの誕生日は一大イベント - 多くの子どもを招待します(幼稚園と小学校低学年時は、招待されない子どもが傷つかないよう、『クラス全員を招待するように』と学校から注意がきます)、レンタル会場(アミューズメント施設)で開催することも多く、ケータリングやエンターテイナーを呼ぶこともあります。
10)運転中のハイビーム(High Beam)はゆずり合いのサイン- 日本では「注意のサイン」として使う場合が多いですね。
アメリカで暮らしていて強く感じることは、アメリカ社会は 「個人主義的(individualistic)」 であると同時に 「家族中心的 (family-oriented)」 な面も強く存在しているということです。アメリカが個人主義とされる理由は、自己選択・自律を重視し、職業、住む場所、結婚相手などは「自分の意思」を最優先にします。また、制度や社会も、個人の権利を強調し、表現の自由、プライバシーの保護、契約関係もそのように設計されています。日本の「コミュニティー主義」と比べると、「家族や集団が決める道」よりも「自分の意思で選ぶ道」が尊重されます。
それでも家族中心的な理由は、核家族の強い結束で、保護者と子の単位での家庭生活を非常に重視し、家族行事文化、例えば、母の日、父の日、感謝祭(Thanksgiving)やクリスマスやハヌカなどの祝日は「何があっても家族と一緒に過ごす」雰囲気が強いです。高齢者のケアも制度に任せきりにせず、家族が責任をもつことが少なくありません。
つまり「人生の選択は自分で行う=価値観」と「それでも一番大切なのは家族=意識」が同時に存在する国だと思います。
【今日のひとこと】
現在の住所に引っ越して来て8年。アジア人が少ない地域で、引っ越ししたばかりの頃は少し緊張していましたが、早速ウェルカムパーティーを開いてくれるなど、ご近所の皆さんに優しくしてもらい、すぐに溶け込むことができました。表面上の付き合いだけでなく、困ったときの「助け合い」も活発です。
今思えば、人種のことを気にしていたのは、周りではなく、私だったのかもしれません。異国で暮らしていると、差別や文化の違いなどで傷つくこともあります。けれど、そのたびに人の優しさに触れ、お世話になることもたくさんあります。
「受けた傷は砂に刻み、もらった恩は大理石に刻め」
痛みはなるべく早く忘れ、恩はしっかりと心に刻みながら、穏やかに暮らしていけたらと思います。
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