トランプ政権が6日に発出した指示により、糖尿病や肥満などの特定の健康状態の外国人は、アメリカ居住ビザの申請が拒否される可能性が出てきた。CBSニュースが同日、伝えた。

心血管疾患、呼吸器疾患、がん、糖尿病、代謝疾患、肥満、神経疾患、精神疾患などが対象
米国務省が大使館・領事館職員に送付した電報で示された指針(KFF Health Newsが入手)によれば、ビザ審査官に対し、年齢や公的給付への依存可能性など新たな理由に基づき申請者のアメリカへの入国資格を不適格と判定するように指示している。指針では、「心血管疾患、呼吸器疾患、がん、糖尿病、代謝疾患、神経疾患、精神疾患などを含む特定の病は数十万ドル相当の医療費を必要とする可能性がある。これらは『公的負担』となる恐れがある」と述べている。さらに、移民が公的扶助を受ける可能性を評価する際、ビザ担当官に対し肥満などの他の疾患も考慮するように指示。肥満はぜん息、睡眠時無呼吸症候群、高血圧を引き起こす可能性があり、「これら全てが高額かつ長期的な医療を必要とする可能性がある」と記している。
医療費の支払い能力、親族の健康状態まで考慮対象に
また、「ビザ申請者は、公的援助や政府負担による長期施設入所を求めずに、生涯にわたって医療費を賄う十分な資金源を有しているか?」と、ビザ担当官に申請者がアメリカ政府の援助なしに医療費を支払う手段があるかどうかも判断するように指示。加えて「扶養家族に障害、慢性疾患、その他の特別なニーズがあり、申請者が就労を維持できないほどの介護を必要とする者はいるか?」などと、子どもや高齢の親を含む家族の健康状態まで考慮するように指示してる。
移民候補者は、結核やHIVなどの感染症スクリーニングやワクチン接種歴、薬物・アルコール使用歴、精神疾患、暴力行為の有無を申告する書類の記入を求められる。また、はしか、ポリオ、B型肝炎などの感染症予防のため、複数の予防接種が義務付けられている。しかし新たな指針はさらに踏み込み、慢性疾患も考慮すべきだと明言。専門家は、新たな指針は審査対象となる医療状態のリストを大幅に拡大し、ビザ担当官に申請者の健康状態に基づいて判断を行う際に、「より大きな裁量権を与えている」と指摘する。
外交事務マニュアルとは矛盾。偏見に基づく判断に懸念の声
非営利のカトリック系法律支援団体、カトリック移民法ネットワークの上級弁護士、チャールズ・ウィーラー氏は、「この指針はほぼ全てのビザ申請者に適用されるが、実際に運用されるのはアメリカへの永住を目的とするケースに限られる見込み」と話す。ウィラー氏は、指針はビザ担当官に対し「将来的に医療上の緊急事態や医療費発生につながる可能性について、各自の判断を形成すること」を促しているが、国務省の手引書である外交事務マニュアルは、ビザ担当官が仮定のシナリオに基づいて申請を拒否することはできないと定めており、「今回の指針と矛盾する」と指摘する。「医学的訓練を受けておらず、この分野の経験もない者が個人的な知識や偏見に基づいて予測を立てるべきではないからだ」とウィラー氏。
トランプ政権が推進する移民排斥キャンペーンは、アメリカに不法滞在する移民を国外退去させるとともに、他国からの移民流入を阻止することが目的。移民排斥には、連日のように各地で行われる集団逮捕、特定国からの難民の受け入れ禁止、アメリカへの総受け入れ人数を大幅に制限する計画などが含まれている。
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