ちょっとした「やってみよう」が、人と人をつなげ、地域を支えているニューヨーク。ボランティア活動でのリアルな声や、心動く瞬間をNY de Volunteerがお届けします。
私たちNY de Volunteerは、社会課題の解決に向けて自ら考え行動する「チェンジメーカー」を育てることを目的に、2003年からニューヨークで活動している非営利団体です。
NY de Volunteerは、コニーアイランドを訪れた1人の日本人女性が、あまりに汚いビーチにショックを受け、「何かできることを」と、自らの手でごみ拾いを始めたことから始まりました。連載では、活動現場での人と人との触れ合いから生まれる、さまざまなエピソードをお届けしていきます。
連載第6回は日本在住の学生を対象としたグローバルリーダーシップ教育プログラムについてご紹介します。このプログラムは15年以上にわたり実施しており、大きく分けて以下の3種類を提供しています。
1)グローバルキャリア研修 2)サービスラーニング研修 3)日米学生交流
今回はこの中から、「グローバルキャリア研修」の様子をお届けします。研修は、各学校の目的に合わせて企業訪問やニューヨークで活躍するプロフェッショナルによる講演など、教育内容をオーダーメイドで提供しています。この企画の実現には、多くの企業や専門家との共創にあります。
アメリカ研修旅行で、NYのITコンサル企業へ訪問
石川県立金沢泉丘高等学校の生徒39人が10月、「スーパーグローバル(SG) コース」のアメリカ研修旅行の一環として、ニューヨークを訪問し、グローバルキャリア教育プログラムを体験しました。未来を担う高校生たちがニューヨーカーと共に「自分らしく働くこと」「多様性と向き合うこと」について考える特別なプログラムです。今回のプログラムを共催したのは、ニューヨークをはじめ、世界26か国に拠点に拠点を置くITコンサルティング企業アバナードです。

アバナードは社会貢献活動「コーポレートシチズンシップ」を通じて次世代育成にも力を入れており、このプログラムへの協力は今回で4年目を迎えます。日本法人・北米法人の社員が連携し、企画から当日の運営まで携わってくださいました。
働く環境と“リアルな多様性”に触れる
プログラムはマンハッタン中心部にそびえる高層ビルの61階にあるオフィスで実施されました。眼下に広がる街並みを前に、生徒たちはやや緊張した面持ちでスタート。最初に行われたのは、社員によるオフィスツアーとアイスブレイク。自由に席を選べるフリーアドレス制のデスクや、世界中とつながる会議システムなど、最新のワークスタイルに生徒たちは興味津々。「ここで働いてみたい!」という声も聞かれました。


研修のゴールを英語で話してみんなと共有しました
アイスブレイクでは、レゴで「将来なりたい自分」を表現したり、付箋に「研修のゴール」を書いて共有したりと、さまざまな課題に挑戦。英語でのやり取りも弾み、会場の空気が一気に明るくなりました。
多様なキャリアを知る─ダイバーシティセッション
緊張もほぐれたところで、ダイバーシティセッションがスタート。異なるバックグラウンドの社員4人が登壇し、「自分らしさ」「価値観」「成長」「多様なチームで働くこと」をテーマにスピーチ。

バックグラウンドの異なる社員の話に興味津々の様子でした
質疑応答では、異文化とのかかわり方や挑戦する勇気など、実践的なアドバイスが次々と飛び出し、生徒たちは熱心に質問を重ねました。
自分を言葉にする──パーソナルブランディング体験
ランチタイムの後、午後のセッションは、自分自身を見つめるパーソナルブランディングのワークショップから。生徒一人一人が「自分の強み」「将来の夢」「ユニークな特性」を整理し、30秒で自分を表現する“エレベーターピッチ”に挑戦しました。
*エレベーターピッチ=短時間で自分の魅力を端的に伝える自己紹介法

みんなの前で自己紹介
部活動や趣味などを織り交ぜながら、自信を持って英語で自己紹介する姿は、誇らしげでとても印象的でした。
人生の先輩たちから学ぶーロールモデル講演
続くロールモデルスピーカーのセッションでは、異なる人生経験を持つカマタ マサヤスさんとステーシー・カミール・パンチャックさんが登壇。MIC ビジネスソリューション(米州三菱商事のIT子会社)勤務のカマタさんは学生時代、マルタでのインターン中にわずか1週間で契約を打ち切られるという挫折を味わいながらも上司に直訴し復職、2カ月のインターンを完了した経験を基に、「困難に直面しても前に進む勇気を持つこと」の大切さを語りました。
一方、アバナード社員のカミールさんは早くに高校を離れ、複数の国で学び働く中で自分のあり方について悩み、「他人の目を気にせず自分を受け入れた瞬間が転機だった」と話し、ジャケットを脱いで腕のタトゥーを見せる場面も。その大胆な行動は、「人間は全てはユニークで価値ある存在」とのメッセージの体現でもあり、生徒たちは深く感銘を受けていました。
英語で伝える、日本の課題
その後、生徒たちによるSDGsプレゼンテーションを実施。「食品ロス」「災害時のトイレ」「障害者との共生」など、身近な社会課題をテーマに英語で発表しました。

グループで協力し合って、英語で伝えるという貴重な経験です
社員からは鋭い質問や温かいフィードバックが寄せられ、生徒たちは一生懸命に英語で答えていました。「自分の考えを異国の地で母国語以外で伝える」体験は、教室の外だからこそ得られる貴重な学びとなりました。
笑顔で締めくくる、ネットワーキングの時間
最後は社員との交流をするネットワーキングタイム。生徒たちは日本から持参したお菓子を手に、英語で積極的に会話を楽しみました。会場は笑顔と笑い声に包まれ、「もう一度来たい!」「ここで働けたらいいな!」という声も。一日を通じて、生徒たちは多くの気づきと自信を得たようです。
生徒たちの声
「自分のことを一番理解できた日だった」
「多様なバックグラウンドの人と話して、視野が広がった」
「英語は難しかったけど、“英語っていいな”と思えた」
「この日に出会ったNYで働く人たちが生き生きしていて、働くって楽しそうだと思えた」
「世界一の企業で、世界一の自分を見つけた」
どの言葉にも、発見と感動があふれていました。

最後に笑顔で記念撮影
一歩踏み出した経験が、未来を動かす
引率の先生からは「ニューヨークという街のパワーを肌で感じ、有意義な時間だった」という感想も。生徒たちは前向きなエネルギーに満ち、社員や私たちスタッフもその姿に刺激を受けました。今回のプログラムで感じた「自分らしさ」「多様性」「挑戦」の大切さは、これからの人生の中で大きな力になるはずです。この経験が、将来の進路や生き方を考えるきっかけになったのではないでしょうか。
NY de Volunteerは今後も企業や教育機関と連携し、若者がグローバルな視点で社会と関わる機会を創出していきます。

この企画に携わったアバナード社員の皆さん、NYdVのスタッフ
このような日本からの訪問者向け研修は、ニューヨーク在住の日本人にとって、ご自身のニューヨークでの挑戦がリアルなストーリーの一つとして次世代育成に貢献できるボランティア機会となっています。 実施時期は教育機関の意向によって変動するのですが、関心がある方にはロールモデルボランティアとして事前登録していただき、ニーズがある際に協力のお願いをしています。ご興味あればここをご参照ください。
ボランティアの形はさまざまです。困っている人に手を差し伸べることも、若い世代のキャリアを支えることも「誰かを支える行動」です。「自分にできること」を見つけ、行動する。その一歩が、未来を変えるきっかけになると信じています。
今回のテーマ、GLSTについて詳しくはこちらから。
Miki(NY de Volunteer運営スタッフ)

NY de Volunteerのスタッフ
NY de Volunteer
市民の社会参加やボランティア活動を推進し、グローバルリーダーの育成を通じて、社会課題の解決に向けて自発的に考え、行動する「チェンジメーカー」を社会に送り出すことを目的に、2003年から活動する非営利法人。公式SNSでは、ニューヨークでのボランティア活動の魅力や、イベント情報を配信中。フォロー&いいね!をお待ちしています。
instagram:https://www.instagram.com/nydevolunteer/
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