ごみであふれたニューヨークの街が人々を結び付ける「場」となっているーニューヨークでは今、歩道のごみを拾うボランティアグループが急増。街を清掃する達成感と、その過程で新たな友人を得ることを求める人々、市民活動への新たな方法を渇望する新世代のニューヨーカーについて、地元のニュースサイト、ゴッサミストがレポートしている。

2023年に「ピックアップピジョンズ(ごみ拾いの鳩たち)」を結成したレイチェル・ケイン(39)さんは、市内の各地区でごみ拾いグループを率いている。メンバーは市内5区でごみ拾い活動を行ったことを誇りに思っており、汚れていればいるほど「興奮する」という。「私を解剖したら、中身は発泡スチロールと鳥の羽ばかりでしょう」とケインさん。
最近の外出中、約15人の「ピックアップ・ピジョンズ」が夕食のために市内最古のバーの一つ「ネアーズ・タバーン」に集まった。その後、サイプレスヒルズを2時間にわたってごみ収集。ケインさんがごみ箱を押しながらグループを先導し、メンバーたちは長く放置されたごみの山や尿で満たされた瓶の横で記念撮影をした。この日は推定で約200ポンド(約90 kg)のごみを回収したという。
ケインさんのグループが市内全域で活動する一方、他のグループは特定の地域に焦点を当てている。ブルックリンのグリーンポイントでは、トム・オーレンバックさん(30)が24年から「グリーンポイント・トラッシュ・クラブ」を率い、地域の歩道清掃に取り組んでいる。毎週約40人のボランティアが集まり、ごみ袋をいっぱいに詰めた後、地元のバーを巡ってくつろぐのが習慣だ。
「気持ち良く散歩ができて、交流もできるんです」と話すのは同クラブの別のメンバー、ダニッシュ・ジャワイドさんだ。「私にとって一番大事なのは、そのエネルギーとポジティブな雰囲気なんです」
ごみ収集グループのメンバーは、市の清掃局の日常業務を補完していると述べる一方、新たな規制が彼らの活動を妨げ始めている。ネズミの繁殖抑制のため、市内の商業廃棄物は全て施錠可能な容器に入れて道路脇に出すことが義務付けられたが、多くのボランティアグループは通常、歩道の公共ごみ箱近くにごみ袋を置いていく傾向がある。
「清掃活動で出たごみ袋は収集用のコンテナに入れること。公共のごみ箱の横に置くのは禁止!だなんて、馬鹿げている」と話すのは自らを「ごみの女王」と称し、「ザ・リッター・レギオン」というグループを運営するケイティ・サベージさんだ。「私は公共のごみ箱の横に(ごみ袋を)置き続けるつもりよ。だってこれは公共のごみであって、私のごみじゃないから」
ケインさんによると、ピックアップ・ピジョンズは外出後に集めたごみ袋を単一の場所に積み上げるだけで、多くの場合、公共のごみ箱の近くになる。特に大量のごみを回収した場合は、311に「誰かが大量のごみを捨てた」と通報し、確実に回収されるようにしているという。ケインさんは不完全な解決策だと認めつつも、自身のグループが市内の歩道から除去したごみの量に慰めを見出している。
「約3週間でニューヨーク全体を清掃できると見積もっています」と、ピックアップ・ピジョンのメンバー、ザック・レヴィさんはサイプレスヒルズでの活動中に冗談めかして語った。
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