投資で成功するには単純に言えば安い時に買い、高い時に売ることです。過去のデータから見ると投資のタイミングによってほぼリターンは決まるといっても過言ではありません。
チャールズ・エリス氏の著作『Winning the Loser’s Game』では米国のS&P500格式指数の過去28年の長期間において取引のタイミングによってどれだけリターンが変わるかという調査が載っています。それによると、28年でもっとも相場が上昇したベスト10日を逃した場合はリターンは22%低下し、28年でもっとも相場が上昇したベスト30日を逃した場合はリターンは半分にまで落ち込むといいます。
1年間に252日の取引日があるとすると、28年の期間では、たった0・14%の投資チャンスがリターンに22%も影響を及ぼし、たった0・43%の投資タイミングがリターンを50%も変えるという結果になっています。
日本でも同じことです。例えば、日経平均は2012年後半〜15年半ば現在までずっと上昇を続けてきました。このような珍しい上昇相場を逃すだけで、今後のリターンは劇的に変わってきます。そのため、投資においてタイミングを逃さないことが重要です。そして、08年のリーマンショックのような大暴落から身を守ることも大切です。
では、実際に投資家は投資するタイミングに乗れるかというと、それはとても難しいでしょう。大暴落時にはパニックになり、売ってしまったり、逆に大きな上昇を逃し、焦って高値掴みをするなど多くの人はタイミングを外します。なぜかというと、感情というものが論理性や思考を妨げ、正しい判断を難しくします。感情はよほどの訓練を積まないとコントロールできません。
ですが、ある程度行動をコントロールすることはできます。例えば、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が行う投資法は株ではなく、会社自体を買うことです。そして、買った会社を生涯売りません。もちろんこの方法は実践するには多分に難しいでしょう。他にも、ドルコスト平均法による積立投資やいっそ売買の判断をすべてコンピュータープログラムやアルゴリズムに任せるといった機械的な方法もあります。実際、現在の株式市場の取引の大部分がアルゴリズムによってなされているという報告があります。
日本は株式よりも外国為替、通称FXが人気ですが、FX取引ではEAという自動売買ソフトウエアが人気を博しています。EAにより、投資の素人でもある程度FXでリターンを出すことも稀ではありません。もちろん、信頼できるEAであればの話ですが。
(在NYエコノミスト チングーン・ボロルマー : l.cbolormaa@gmail.com)
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