返品や返金について問い合わせても、自動応答が続き、なかなか解決しない。そんな不便を減らそうと、ニューヨーク市消費者・労働者保護局(DCWP)が、企業のカスタマーサービスに関する新たな規則案を発表した。AIなどの自動応答を使っていることを利用者に明示し、有人窓口へ簡単につながる仕組みを求める内容だ。

問い合わせても解決しない…。困った時には、人に相談できる窓口もほしい。写真はイメージ(photo: Unsplash / David Hahn)

同じ案内を繰り返すだけでは不十分

規則案が問題視するのは、解決につながらない案内を何度も繰り返したり、関係のない情報や誤った回答を返したりする対応だ。対象には、文字でやり取りするAIチャットボットだけでなく、電話の自動音声応答も含まれる。企業には、利用者を不当に待たせず、問題の解決に役立つ対応を求める。自動応答で十分に対応できない場合に、有人窓口へ簡単に切り替えられる仕組みも必要となる。

「AIがしたこと」で責任は免れない

規則案では、企業が自動応答システムを使っていることを利用者に明示するよう求める。また、AIの回答などによって法令違反が生じた場合も、「技術の問題だった」として責任を逃れることは認めない方針だ。地元メディア「ゴッサミスト」によると、対象はニューヨーク市内に本社がある企業に限らない。市内で事業を行う企業にも適用すると、DCWPのサミュエル・レビン局長は説明している。

市は11月19日まで規則案への意見を受け付け、同日に公聴会を開く。寄せられた意見を検討した上で、最終的な規則をまとめる予定だ。規則が採用された場合、違反に対する罰金は初回525ドル、2回目1050ドル、3回目以降3500ドルとなる。施行日は未定で、企業が対応を整えるための移行期間も設けるという。自動応答の便利さを生かしながら、困った時には人に相談できる仕組みを目指す。

日本でも対応を議論

日本でも、チャットボットでは問い合わせが解決しないなどの不便が指摘されている。政府はAI事業者向けのガイドラインを示し、消費者委員会でも消費者保護に向けた対応を検討している。今回のNY市の規則案は、有人窓口につながる仕組みを企業に求める点が特徴だ。