5月末、東京渋谷でユニクロの2016年秋冬コレクションの展示会が行われ、興味津々で私も参加してきました。国内外での関心の高さが伺える広大な会場では、グローバル戦略に応えたバラエティ豊かなコレクションをセクション別に小部屋に分けた展示となっていました。
まず先に目についたのは、ユニクロの打ち出すLifeWear(ライフウエア:日常のどんなシーンにも対応する定番のアイテム)というコンセプトが生きた、いわゆるベーシックなライン。昨年から続くアスレジャー(アスレチック+レジャー)スタイルの流行とも近く、ヒートテックやダウンなど、まさにユニクロの得意分野が際立つところ。ファー素材のネックウォーマーや着脱しやすいアウターの2、3枚重ね。秋冬は特にスモーキートーンのレイヤー技が映えます。安心の置ける機能性と質の良さ。そこにクール感を足すのはコーディネートの技。あえて全体を同系色に揃え、異素材を楽しむ合わせ方は特に目を引きました。それは絶妙なサイズ感、計算されたハンパ丈、歩く時に長めにカットした裾が踊るのを楽しむ感じ。モデルがランウェイを闊歩するショーでは、色鉛筆が並ぶようにネイビー、グレー、カーキ、ベージュ、バーガンディーと単色統一にまとめた着こなしが一体ずつ登場し、ハイファッション的なアプローチを感じました。
奥に続く小部屋では、オフィスカジュアル、フレンチシック、子供服など、多様化する消費者に対応した、とりこぼしのないラインナップ。ディズニーやマーベル、スター・ウォーズ、ピクサーとコラボしたキャラクターやロゴが生かされたラインは話題性高し。ビンテージにインスパイアされたアメカジ調のラインや、ヒョウ柄のイミテーションファーなどを使ったフェミニンなデザインや、ムスリムの女性が纏う頭を覆うヒジャブなど、意表を突くものもありました。いちブランドとは思えない幅広さに、ジャパン・ブランドの筆頭として期待がさらに高まります。

フリー・ジャーナリスト
Aya Komboo
www.ayakomboo.com
日本では数々の出版社で経験を積み、フリーランスへ転身。2006年よりロサンゼルスへ渡米し、現在はニューヨークを拠点にファッション/カルチャー誌などで活躍している。
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