魚に豊と書いて〝はも〟と読むこの魚は、この時期しか味わえない貴重な食材。全長1メートルほどの細長い海水魚で、長く突き出た口と鋭い歯を持っているが、そのどう猛な様相からは想像もできないほどしっとりとした歯ごたえと上品な旨みがある。
また、はもにはたくさんの小骨があり、そのまま食べることはとても難しい。そのため、皮を切らずに身を小骨ごとミリ単位で刻みを入れて骨だけを切断していく「骨切り」という伝統の職人技術が必要だ。
夏の風物詩として、珍重されてきた「鱧」
四季折々の料理を提供しているミッドタウンの老舗「梓レストラン」では、期間限定で数々のはも料理を提供している。そして、現在提供されている「はもしゃぶコース(一人前:58・75ドル)」は、おとし・天ぷら・はもしゃぶ鍋(そうめん付き)と、はもを贅沢に堪能することができる大満足のメニュー。
まず一品目は、はもおとし。はもの切り身を湯引きし、冷水で冷やしたはもの定番料理。清涼感漂う見た目が食欲をそそり、酒もすすむ。また、さっぱりとした梅肉ソースでいただくおとしは、淡白な味わいながらも柔かな弾力があり、はもを食すなら外せない一品。
お次は、はもの天ぷら。ふわっとした食感はほかの白身魚の天ぷらとは一味違う甘みがあり旨い。
最後ははもしゃぶ。はもの骨を揚げてつくる「骨せんべい」を使ったダシ汁に、はもの身をささっとくぐらせれば、白く色が変わってくる。花が咲く瞬間のように身が開き、見た目にも楽しませてくれる。これは、先述の通り「骨切り」を施しているからだ。また、煮すぎないように注意が必要で、失敗するとはも特有の食感がなくなってしまうという。淡白ながら上品な味わいのあるはもの身はダシ汁と合わさり絶妙な旨さ。白菜、えのき、春菊などの野菜との相性もばっちり。最後にそうめんを入れ、はものダシがしっかりと効いたスープと絡ませれば、旨みが凝縮された贅沢な締めが完成。
〆のそうめんと合わせて、押し寿司をオーダー。一緒に食べれば、
それはまさにはもの宝石箱
ここでさらにおすすめしたいのは、同店のシェフが独自にアレンジを加えた「はも押し寿司(単品オーダーのみ)」。ふっくらと焼かれたはもと絶妙に混ざり合った甘いタレ、それらを酢飯とともに押す。さらに、ネタとシャリの間には刻まれた山椒が入っており、このひと手間が、はもの味を引き立てる。はもの油と山椒のピリッとした辛さ、そして甘いタレが口の中で奏でるハーモニーは、まさに食のオーケストラ。そして、はもの上にのったわさびが最後にツーンと効き、後味を爽やかにしてくれる。絶対に注文することをおすすめしたい、一品。
「“骨切り”していないはもは食べられるのか?」
はもは骨が多いことで有名な魚。通常は細かく縦に包丁を入れて、骨切りをしないと食べられないとされている。
今回はこの取材のために、骨切りしていないはもを特別に用意してもらった。
挑戦者A
「ん?」と言い、咀嚼を繰り返し、なんと飲み込んでしまった。「身が骨から離れなかったので、そのまま飲み込んだ。骨切りしたものとは味が全く違った!」
挑戦者B
なかなか飲み込めず、口の中が痛くならないように噛み砕こうとしたが、骨が邪魔をして身本来の食感も味わえず、痛いだけだった。トホホ…
結果
本当に「骨切り」は重要! のどにつまったり、痛みを回避するだけではなく、骨を砕いた状態で食す花びらのようなふわっとした身を楽しむ“はも”の「骨切り」は必至でした!
※通常は骨切りしていないはもは提供していません
梓レストラン
3 E 44th St (bet 5th & Madison Ave)
Tel: 212-681-0001
営業時間:ランチ=月〜金:12pm〜2:30pm
ディナー=月〜金:5:30pm〜9:30pm
土:5pm〜9pm
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