海外でモノを無くしたら諦めろ、ということわざが存在するかのごとく、米国を含む海外で何かモノを無くしたら、再びお目にかかれる確率はかなり低い。ニューヨークのように多くの人間が混在する地域では特にだ。ここで生活している人なら大抵の人は「タクシーにかばんを忘れた」「バーに携帯電話を忘れた」など、自分や周りの人が経験しているだろう。しかし、そうなってしまったらもう終わり、落胆するより他はない…と諦めるのはちょっと待って。
ニューヨーク在住歴2年の日本人C子は先日、レストランにその日買ったばかりの化粧品を忘れてしまった。店を出て1時間後、気付いて戻った時には店は閉まっており、見つからないまま帰宅した。そこからC子の2週間に及ぶ〝戦い〟が始まった。
まずは翌日、さっそく店に電話をかけ事情を説明。電話口の店員は分かっているのかいないのか、「OK!明日取りに来て!」と快い返事。しかしいざ店に出向くと、別の店員に「そんな話は聞いていない」と一蹴される。「そういうことか」と負けず嫌いのC子はあらゆる手を尽くすことを決意。次の日も、またその次の日も電話をかけ、たらい回しにされようとも「見当たらないな〜」と濁されようとも、決してまくしたてずにうったえ続けた。その間数度、店にも足を運んだ。
1週間後、店の対応は相変わらず「わからない」の一点張り。さすがに疲れてきたC子だが、ある店員から店のマネージャーのメールアドレスをゲット。ここからはメールで援護射撃を開始。「お忙しいところ大変恐縮ですが、ぜひともご確認を」とへりくだる。ところが返事は「あまり期待しないでね」と希望薄め。懇願している様子を見せるべく、「本当に大切なものなので、どうしても諦められないのです」と送るも今度は返信無し。これが最後と思い、「防犯カメラをチェックしてください。もし盗難ならばクレジットカードの付帯保険を申請します」と強めに出たC子。するとその2日後にマネージャーからのメールを受信。「見つかりました。店に保管してあるので取りに来てください」。紛失から2週間後のことだった。
マネージャーからどこでどのように見つけたかは説明がなかったものの、今回はC子の〝執念の勝利〟といったところか。
遺失物が戻って来る確立No.1の国、日本では落とした財布がそのまま戻って来るケースも多々あるが、残念だが「無くす方が悪い」というのがこちらの常識。遺失物と再びお目にかかれた人はかなりラッキーなのだ。
ちなみに化粧品がC子の手元に戻って来た時には、〝開封済み〟になっていたそう。
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