デボラ・フィッシャー(Debra Strobel Fischer、66歳)
ネブラスカ州上院議員
フィッシャー議員は、共和党の保守強硬派(conservative hardliners)を代表する女性議員だろう。
2012年の上院議員選挙では、サラ・ペイリン氏(アラスカ州知事、2012年の大統領選の共和党副大統領候補)とハーマン・ケイン氏(2012年の大統領選の共和党候補の1人で実業家)からの支持を受けて、自身が保守の立場であることを常に鮮明にして闘った。妊娠中絶と同性婚には強硬に反対し、オバマケアには異を唱え、銃の所持には支持を表明して「NRA」(全米ライフル協会)から支持を得ている。
移民政策もトランプに近く、不法入国者が公立大学へ入学することに反対している。もちろん、「ドリームアクト」(DREAM Act: 不法移民救済法)には反対で、不法移民を追放すべきだと訴えている。
ネブラスカ州バレンタインで、夫と子ども3人で「家族牧場」を経営している。
カーリー・フィオリーナ(Cara Carleton “Carly” Fiorina、64歳)
2016年共和党大統領候補
2020年には66歳になるため、出馬の可能性は少ないが、ないとは言い切れない。前回選挙では立候補を表明して半年ほどで撤退、テッド・クルーズ候補への支持に回った。それを受けて、クルーズは自身が共和党大統領候補に選出された場合、フィオリーナを副大統領候補とすることを表明した。
フィオリーナは、アメリカ人なら誰もが知っているビジネス・ウーマンのトップ。元ヒューレット・パッカードのCEOである。2008年の大統領選挙でジョン・マケイン上院議員の経済顧問となったことで、政界を目指し、2012年のカリフォルニア州の上院議員選挙に出馬したが、民主党のバーバラ・ボクサー氏に敗れた。
スタンフォード大学でBA、MIT(マサチューセッツ工科大)でMSという才女で、受付嬢からキャリアをスタートさせてトップまで上りつめたというストーリーは有名だ。
彼女は「闘争型の女性」といわれ、常に上を目指していくというポジティブな姿勢が共感を呼んできた。上院議員選挙時は、がんで闘病した経験を引き合いに出し、「現職のボクサー議員は怖かったけれど、自分ががんのキモセラピー(理学療法)をやってからは怖くなくなった」と発言している。
政治的なポジションは、共和党穏健派の本流。2016年の出馬表明で、ライバルとなったトランプは、フィオリーナについて「あの顔を見てみろ。だれが投票するだろうか」と言ったことは有名だ。
女性がリーダーになると戦争は起こらない?
以上が現在、メディアで保守系の女性大統領候補として名前が挙がっている女性たちだが、最後に1人、忘れてはいけない女性がいる。
それは、トランプが溺愛する娘のイヴァンカ・トランプ(37歳)だ。トランプの暴露本とされるジャーナリスト、マイケル・ウルフ氏の著書「Fire and Fury: Inside Trump White House」によると、イヴァンカは「初の女性大統領になりたい」という希望を抱いているという。
しかし、もし彼女が大統領選に出馬したとしても、「パパのトランプが一緒に付いてくる」のは確実である。
いずれにせよ、アメリカ政界のなかでも、有権者の間でも、女性の発言力と存在感は着実に強まっている。2020年、アメリカ初の女性大統領が誕生することに期待したい。
かつて私は、「The Color Purple(カラー・パープル)」の著者アリス・ウォーカーが来日して外国特派員協会で公演したとき、彼女の言葉に感動した(「カラー・パープル」は、1985年にスピルバーグ監督により映画化されて大ヒットし、ウーピー・ゴールドバーグとオプラ・ウィンフリーのデビュー作品となったことは有名だ)。
アリス・ウォーカーには有名な言葉がある。
“Men make war to get attention. All killing is an expression of self-hate.”(男たちは戦争を起こすことに腐心する。自己憎悪からみんなで殺し合うのだ)
この言葉を引いて、彼女はこう言った。「女がリダーになれば戦争は起こらないと思います」
本当にそうなってほしいと、切に願う。
(了)

【山田順】
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。
2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。
主な著書に「TBSザ・検証」(1996)「出版大崩壊」(2011)「資産フライト」(2011)「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)など。翻訳書に「ロシアンゴッドファーザー」(1991)。近著に、「円安亡国」(2015 文春新書)。
【読者のみなさまへ】本メルマガに対する問い合わせ、ご意見、ご要望は、私のメールアドレスまでお寄せください。 → junpay0801@gmail.com
RECOMMENDED
-

客室乗務員が教える「本当に快適な座席」とは? プロが選ぶベストシートの理由
-

NYの「1日の生活費」が桁違い、普通に過ごして7万円…ローカル住人が検証
-

ベテラン客室乗務員が教える「機内での迷惑行為」、食事サービス中のヘッドホンにも注意?
-

パスポートは必ず手元に、飛行機の旅で「意外と多い落とし穴」をチェック
-

日本帰省マストバイ!NY在住者が選んだ「食品土産まとめ」、ご当地&調味料が人気
-

機内配布のブランケットは不衛生かも…キレイなものとの「見分け方」は? 客室乗務員はマイ毛布持参をおすすめ
-

白づくめの4000人がNYに集結、世界を席巻する「謎のピクニック」を知ってる?
-

長距離フライト、いつトイレに行くのがベスト? 客室乗務員がすすめる最適なタイミング
-

機内Wi-Fiが最も速い航空会社はどこ? 1位は「ハワイアン航空」、JALとANAは?
-

「安い日本」はもう終わり? 外国人観光客に迫る値上げラッシュ、テーマパークや富士山まで








