福島県の内堀雅雄知事は30日、マンハッタン区のワン・ワールド・トレード・センターで記者会見を開き、同県産の日本酒を販売する直営店をニューヨーク市内に開設すると発表した。品質の良さを知ってもらい、復興を加速させるねらいだ。会見後、200人以上が参加した交流会で同知事は「ニューヨーカーは日本酒に理解がある。きょうのにぎわいを県民にも伝えたい」と話した。

交流会で乾杯する知事(手前左)と、米同時多発テロ被害者の証言を集める活動を続けるメリアム・ローベルさん(手前右)ら。ローベルさんは「悲劇に屈しない、国を越えたつながりは素晴らしい。深めてきたい」と話した(photo: Yuriko Anzai / 本紙)
「希望と誇り持って進みたい」 復興の象徴、1WTCで知事
福島県県産品復興戦略課の市村尊広課長によると、同県産日本酒の直営店開設は国外初。今秋オープンを目指し、マンハッタン区内で店舗地を絞っている段階だという。「県産日本酒の質や味の良さを改めて感じてもらえる場所になれば」と抱負を語った。
会見で内堀知事は県内の97%で除染が完了し、避難区域も震災直後の12%から3%に減ったと復興の成果を紹介。「1つひとつの分野で挑戦や努力を続けることで復興が前に進んできた」と述べた。一方で、避難指示が解除された区域でも帰還率が上がりにくいこと、福島第一原発の廃炉に30年から40年かかること、県産農産物に対する風評被害などの課題も指摘した。
交流会前、同知事は壇上で「ワン・ワールド・トレード・センターはニューヨークが復興を遂げた象徴ともいえる場所。福島県も希望と誇りを持って歩みを進めたい」とあいさつ。交流会では2017酒造年度の全国新酒鑑評会で金賞を受賞した人気酒造(二本松市)の「人気一」など同県産の日本酒7酒造19銘柄や、手打ちそば、「いかにんじん」などの郷土料理を振る舞った。ほまれ酒造(喜多方市)海外営業課の永井泰朝さんは「ニューヨークの人に『福島の酒、おいしいよね』と言われた。認知度は着実に上がっている」と胸を張った。

県人会会員や流通関係者、ニューヨーク市職員などでにぎわう交流会(photo: Yuriko Anzai / 本紙)

壇上で話す内堀知事(photo: Yuriko Anzai / 本紙)
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