異色作品、トニー賞最多ノミネート ギリシャ神話とジャズの融合

 今年度のトニー賞で「ヘイディズタウン」が最優秀ミュージカル賞を含む最多14部門にノミネートされた。地下世界を旅するギリシャ神話「オルフェウスとエウリュディケ」をベースにしたジャズ調のミュージカル。オフブロードウェーでの限定公演を経て、今年4月にブロードウェーデビューした新作だ。
 「ヘイディズタウン」は、ポップスのアレンジでも人気映画の劇場版でもない異色の作品。シンガーソングライターのアネ・ミッチェルが脚本と音楽を担当、数々の賞を受賞してきたレイチェル・チャフキンが監督を務める。エウリュディケ役はエヴァ・ノブレザダが演じる。
 4日付ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同作品の制作費は1150万ドル(約12億6700万円)。予約が殺到し、既に1000万ドル(約11億円)分のチケットが売れている。当日券を求める行列が朝5時半からできるといい、主幹プロデューサーのマラ・アイザックスさんは「信じられない」と目を丸くする。何度も観劇に来る客もいる。既に6回見たというタイラー・シュスコさん(23)は同紙に「何度見ても新しい発見がある」とその魅力を語り、さらに2回分のチケットを追加で求めた。
 ただ、「誰もが知っているストーリーなので先が読めてしまう」との声も。題材が暗いため「せいぜい2年程度」と値踏みをする投資家もいる。それでも売り上げが伸び続けているのは事実だ。
 この他、トニー賞候補の主な作品は、「エイント・トゥー・プラウド」(12部門にノミネート)、「トッツイー」(同11部門)、「ビートルジュース」(同8部門)。授賞式は6月9日の予定。

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