(この記事の初出は2024年2月6日)
NY株、日本株と「株価上昇」がハイペースで続いている。いまや株価はこのまま永遠に上がり続けるというムードになってきている。その反面で、高所恐怖症に陥っている投資家も多い。
そこで、いつかは書くべきだと思っていたことを、今回は書くことにした。株価はいずれ暴落する。バブルは必ず弾ける。なぜなら、これが繰り返されるのが、いまの資本主義経済であり、また、景気の状況や経済成長と株価はあまり関係しないからだ。
つまり、いまの資本主義経済はバブルの繰り返しで成り立っているので、必ず暴落はやって来る。
経済成長と株価上昇に相関関係とは?
私は投資家ではないので、これまで世界経済を見てきて思うことを率直に書く。まず、もっとも簡単な話を書く。以下の数値比較を見てほしい。(図1)
1980年から10年おきのNYダウの株価とアメリカの名目GDPである。
1980年、NYダウは960ドル台にすぎなかったのに、2024年2月の現在、史上最高値の3万8000ドル台に乗せ、4万ドルに迫る勢いである。なんとこの44年間でNYダウは約40倍になったわけだ。しかし、アメリカの名目GDPはどうなっただろうか?
1980年は約2兆8570億ドルで、昨年(2023年)は26兆9490億ドルだから、約10倍になったにすぎない。なぜ、GDPが10倍にしかなっていないのに、株価が40倍になるのだろうか?
それでは、日本はどうだろうか?(図2)

1980年の日経平均は7100円台である。それがバブル経済で1989年末に3万8915円を付けた後は低迷の一途。ところが、コロナショック以後は急上昇し、なんと現在、バブル後最高値の3万6000円台に乗せている。
とはいえ、この状況はアメリカとはまったく違っており、1980年との比較では株価は約5倍になったにすぎない。この間、日本のGDPは約2.3倍になっただけだ。しかも、バブル経済のピーク時と比べたら、株価もGDPもおよそイーブンである。
人口増(人口ボーナス)でGDPは成長する
経済成長に必要なものは、次の3つとされる。
1、人口または労働力の伸長(人口増加)
2、資本増強(機械・工場などの資本蓄積)
3、技術進歩(イノベーション)
このうち、人口増加はもっともシンプルな経済成長の要因だ。そこで、口増によって労働力人口(生産年齢人口)が増加して成長率が高まることを「人口ボーナス」と呼んでいる。とすれば、人口ボーナス期には株価も上昇する。
そこで、日本の戦後の人口ボーナス期(1950年〜1990年)を振り返ると、日経平均は1950年に101円だったのが、1989年末のピークに3万8921円を記録しているので、なんと約385倍になっている。
これは前記したNY株価のここ44年間の上昇をはるかに上回るものだ。しかし、この間、日本の人口は1950年の約8400万人から1990年の約1億2350万人と、約3950万人しか増えていない。そして、GDPは約10兆円から約460兆円で、こちらも46倍であり、株価だけが突出して上がっているのだ。
(つづく)
この続きは3月4日(月)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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