ニューヨークでの生活では驚きが「スタンダート」と化している。筆者は27歳、この夏憧れのニューヨークにやって来た新参者だ。日本(神戸)で人生の大半を過ごしたせいか、いちいちビックリするようなことが毎日のように起こるので、文化の違いやカオスな出来事を中心にポップにつづっていくことにした。
〜乱れまくるサブウェイを乗りこなす、2つの掟〜
ニューヨークの地下鉄は、気まぐれだ。1分おきに来たと思えば、30分来ないことだってあるし、突然急行に変わったり、各駅停車を始めたり。進行方向に向かっていたはずが引き返すことだってあるし、「今週は動きません」なんて、ふざけたことも言ってくる。

まぁそんな地下鉄を800万人のニューヨーカーが毎日使っているわけだが、そりゃあ予定に遅れる遅れる。日本の電車には時刻表があって、たった1分電車が遅れただけで「お急ぎのところ申し訳ございません」と駅構内にはアナウンスが流れる。そして、数時間単位の大幅な遅れが出ると振替輸送が実施されたり、学校や会社に正式な書面として提出できる「遅延証明書」が発行されたりもする。

なので、電車が遅れてしまって会社に遅刻してしまう際も、上司に一言「JRが30分遅延しているので、会議に遅れます」と言えばOK。
ただここはニューヨーク。時刻表はないので、毎朝決まった時間にとりあえず駅に向かう。そうすると近所の駅がなんの前触れもなく、片方面のみ閉鎖している。そしてワンブロック先の次の駅まで歩いて「良かった、来たぁ」と地下鉄に乗り込むと、地下に入ったタイミングで緊急停止。ちなみに地下には電波がなく、上司に「近所の駅が閉鎖して、隣の駅から乗った電車の線路に人が立ち入ったので緊急停止しました。おそらく15分遅れます」と打ってみるものの、電波が入っていないので届くはずもない。

止まった電車で、会社に入ったらなんと説明をしようか考えていた。一部始終を話すと長ったらしくて、言い訳っぽいし、とはいえこの中からワンシーンだけピックアップするのもなんだか簡素になってしまう。ニューヨーカーの皆さん、何か便利な言葉を知っていたら教えてください。
と、この調子で地下鉄と日常茶飯事のバトルを繰り広げて分かったことが2つある。「ビックリするくらいの時間の余裕」か「潔く諦める心」。このどちらかを胸に、駅向かえば大抵のことは乗り越えられるということ。
著者のプロフィール

ナガタミユ(Miyu Nagata)エディター/ダンサー
兵庫県出身の27歳。幼少期に観た「コーラスライン」をきっかけに舞台芸術の世界にどっぷりハマって以来、20年以上踊り続けている。また、日本の出版社で編集者として活躍したのち「書いて、踊る編集者」としてさらなる飛躍を遂げるため、2024年8月から拠点をニューヨークに移す。
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