20日から始まったトランプ大統領の新政権。就任初日に発表された大統領令でも移民関連だけで14の項目に上るなど、外国人である私たちの「ビザ問題」には不安が募るばかりだ。今回は、これからビザを取得する上で気を付けるべき点や注目すべきポイントを、アメリカ移民法を専門とし、数々の日系企業の顧問弁護士も務めるボアズ麗奈弁護士に解説してもらった。

◆ アメリカファーストの中、期待できる点は?
「採用、安全の面でもアメリカ国民を優先するというのがトランプ政権の移民政策なので、それによって外国から来る人たちの入国やビザの申請が大幅に厳格化する恐れがある」とボアズさん。不法移民ではないから安心、ビザやステータスがあるから大丈夫ということではないよう。
「更新のタイミングで、3年前は問題なく取れていたのに同じ内容で却下されてしまった・・・なぜ?というケースもあったり。前政権ではコロナ禍とアメリカの失業率の高さがあったとはいえ、ビザの却下率が非常に高かったので、要注意です」
具体的に影響する点としては、例えばアメリカで専門職に従事する外国人労働者向けの就労ビザ、H1Bビザに関して、これまで曖昧だった「専門職」の意味合いが白黒はっきりすることによって「マーケティングは専門職ではない」「人事職は専門職ではない」(あくまで一例)といった事例が増えてくることが予想されるという。
だが、この「専門職」についてはボアズさんが注目している点でもあり、「変わっていくのではないか?と期待はしている」とのこと。「イーロン・マスクなどテック系の実業家が政権の一部として重要な役割を果たしていて、その中には外国からビザを取得してきた人もたくさんいるので。特にシステム、AI関連はアメリカの経済発展のためにも外国からの優秀な人材を必要とする職種なので、今後彼らを優遇するような政策を期待しています」とボアズさん。
◆ 注意すべきポイントは?「監査対策」も
最後に、今後ビザを取得する上で注意しておきたいポイントとして、「厳格化、すなわちビザ取得に時間を要する」を頭に置いた上で、申請に最低でも3カ月〜半年の余裕は持っておいた方が良い。
アメリカで日本人を雇用する企業にとっては、赴任日のずれやビザの支給状況などにも対応できる「臨機応変さ」と「政府の監査対策」が重要なポイントとなってくる。後者においては、移民局の監査員が突然、会社にやって来て、社員のビザ状況などの事実確認を行う可能性があるので、いつ来ても良いように監査対策を徹底しておくと安心だ。
今回はざっと「気を付けるべきポイント」をまとめたが、日系企業における今後のビザ動向をボアズさんが徹底解説するウェビナーが、1月28日(火)、29日(水)に行われる。申し込みは24日(金)9時59分(アメリカ東部時間)、23時59分(日本時間)までにリンクから。
取材・文/ナガタミユ
◆ JETRO「米国ビザ最新動向ウェビナー」

日時
1/28(火)、1/29(水)
28日(火)19:00-20:30(東部夏時間)
29日(水)9:00-10:30(日本時間)
場所
使用アプリケーション:Zoom(日本語)
参加費
無料
申し込みリンク
https://www.jetro.go.jp/events/nya/81aade070165282d.html
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