24日に実施された民主党のニューヨーク市長予備選挙で、クイーンズ選出のゾーラン・マムダニ州議会議員(33)が、開票率93%の時点で43万2305票を獲得、36万1840票のアンドリュー・クオモ前知事(67)に大差をつけて圧勝した。11月の本選挙は、独立候補として出馬するエリック・アダムズ市長、第3の政党からの出馬が噂されるクオモ氏が加わる激しい選挙戦が予想される。トランプ大統領の再選以来、党の在り方を巡り混乱状態が続く民主党だが、マムダニ氏の勝利はその道筋を示すものとなり、世代交代も早まりそうだ。

事前の世論調査で常にトップを走っていたクオモ氏だったが、進歩的な政策と精力的な選挙キャンペーンで若い有権者を魅了したマムダニ氏の勢いには勝てなかった。予備選挙は順位選択投票で実施されたため最終的な勝者は7月1日まで決まらないが、クオモ氏は票差の挽回は困難と判断。24日午後10時過ぎ「今夜は私たちの夜ではなかった。彼は若者の心を動かし、鼓舞し、投票所に足を運ばせた。本当に影響力のあるキャンペーンを展開した」と敗北を認めた。マムダニ氏は25日早朝、クイーンズで開催された集会で勝利を宣言。「ドナルド・トランプのファシズムを拒否する力を発揮する」と予備選挙での戦いを経て、団結を強調した。
バーニー・サンダース上院議員(バーモント州・無所属)とアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(ニューヨーク州・民主)から支持を受けたマムダニ氏は、自称「民主社会主義者」。市内のバス無料化、無料保育サービスの提供、家賃規制対象アパートの家賃凍結、公営の食料品店の開設など、他の10人の候補者の中で最も野心的な経済政策を提案。財源は市内の最裕福層への大規模な増税で賄うとした。SNSを駆使し、有権者の中に飛び込むエネルギッシュな選挙キャンペーンとカリスマ的雰囲気は若く左派的なニューヨーク市民を惹きつけ、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズの3区でクオモ氏を圧倒した。本選挙で当選すれば、同市初のムスリム市長で、100年ぶりの最年少市長となる。
2021年にセクハラスキャンダルで知事を辞任したクオモ氏は、中道の民主党主流派と主要な労働組合から支持を獲得。2500万ドルのスーパーPACの支援を受け、「ニューヨーク市の危機を解決でき、トランプ氏に対抗できるのは自分だけ」と自らの経験をアピール、マムダニ氏を「市長としては危険なほど不適格」と激しく攻撃した。旧世代を代表する保守的なキャンペーンを展開し、公の場に現れるのは教会やシナゴーグ、支持を受けた労働組合の集会所などに限られていた。
今年の市長予備選挙は、前回の市長予備選挙(21年)と比べて投票率が2倍以上となり、予備選挙当日の投票率も100万人に迫る高水準を記録した。
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