高校で仲間同士がメンタルヘルスを支えあう取り組み
ニューヨーク州各地の高校で、学生が同世代の仲間を精神的な危機から支える方法を学ぶ「ティーン・メンタルヘルス・ファーストエイド」の研修が広がっている。これは、全米で増加する10代の不安や抑うつ、自殺の傾向に対応する取り組みだ。米疾病予防管理センター(CDC)は、2023年にはアメリカの高校生の40%以上が持続的な悲しみや絶望感を抱え、5人に1人が真剣に自殺を考えたことがあると報告している。公衆衛生に関するニュースサイト、ヘルスビートが22日、伝えた。

自身の健康に加え、仲間を支えるスキルを身に付ける
この研修は、ニューヨーク州のホークル知事が進める若者のメンタルヘルス戦略の一環。自身の健康に加えて仲間を支えるスキルを身に付け、必要に応じて専門家につなぐ力を養うことを目的としている。プログラムは全米メンタルヘルス協議会によって設計され、15〜18歳を対象に「警告サインの見極め」「いじめや暴力の影響理解」「友人との対話方法」「信頼できる大人への相談手順」などを学ぶ。
NY州は2000万ドルを投入
今年初め、ホークル知事はこの取り組みの拡充に向け2000万ドルを公立学校の早期介入プログラムに投じると発表した。そのうち1000万ドルを今後5年間の高校生や大人約2500人の研修費用に充て、州内に年間約200人の新しい指導者を養成する計画。ニューヨーク州メンタルヘルス協会も助成を受け、現場の高校での実施を担っている。
受講後は認定資格の取得も可能
受講者は14〜18歳の学生で、学校や外部団体を通じて認定資格を取得できる。授業は認定教員や外部講師が行い、危機対応や傾聴スキルなどを実践的に学ぶ。受講した高校生からは「友人を支える方法を知ることができた」という声が寄せられている。
プログラムを通じて、学生が自信や共感力を高め偏見を減らす効果も
研究によると、このプログラムは学生の自信や共感力を高め、偏見を減らす効果があるとされる。一方で、導入は全校に及んでおらず、特に地方ではアクセスが難しい課題が残る。州は今後、資金を活用して導入校の拡大を図り、支援が不足する地域を優先するとしている。
専門的なケアの代替ではない
専門家は、同世代の支え合いが重要である一方、あくまで専門的なケアの代替ではないと強調する。教員不足や人員の流動性が障害となるケースもあるが、関係者は「スティグマを減らし、会話を広げる第一歩」として、この取り組みが学生の命を守る一助になると期待している。
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