■結婚相手の男性の理想年収は500万円以上
「年収と結婚に関する意識調査」というものが、いくつもある。それらを見ると、女性が男性の結婚相手に求める理想年収は500万以上、男性が女性に求める理想年収は300万以上というのが相場となっている。
しかし、実際に結婚したカップル(既婚者)の調査だと、多くの男女が理想年収以下の相手と結婚している。
日本の給与所得者(全世代)のうち年収500万円以上の人間は約3割強。これは全体の約3人に1人の割合で、平均給与が443万円である。このことから言えるのは、年収500万円というのは比較的高水準といことだ。
これを20代で見ると、年収500万円以上は8.3%から9.6%となり、10人に1人弱。さらに30代で見ると、全体の約26%で、10人に3人弱となる。
また、「結婚生活で余裕を感じられる世帯年収はいくらぐらいか?」という調査があるが、その結果は、最低が800万円以上で、1000万円以上が中心を占めている。
しかし、日本の給与所得者(全世代)のうち、年収1000万円を超える割合はわずか約5.5%。おおよそ18人に1人しかいない。
これでは、ほとんどの若者が理想の結婚はもとより、満足がいく結婚など望むべくもない。
■「ナシ婚」「ジミ婚」「スマ婚」が増えている
このような、若い世代の貧困化は、いまや止めようがなくなっている。それでも、結婚する若者はいる。しかし、彼らは、結婚式をしなくなったり、結婚式におカネをかけなくなったりしている。
最近の結婚のトレンドは、入籍だけで結婚式をしない「ナシ婚」、身内、内輪だけで結婚式、報告会をする「ジミ婚」、結婚式はするができるだけおカネをかけない「スマ婚」(スマートな結婚)である。
経済産業省の統計を見ると、結婚式場業の取扱い件数や売上高は年々減少しており、ブライダル・マーケットは縮小を続けている。結婚式式場の倒産も相次ぎ、結婚式専門だった式場も、いまではレストランやパーティーなどバンケット部門を強化して生き残りをはかっている。
また、結婚式をやっても、そのことが友人知己に迷惑をかけるという現実問題もある。たとえば、こんな声もある。
「結婚式に呼ばれると大変なんです。ご祝儀に最低3万円は包まないといけない。それに、服装代、ヘアメーク代もかかります。正直、会社の同僚、ちょっとした友達程度で呼ばれるのは、本当に迷惑です」
■コロナ禍が若者たちから結婚の機会を奪った
結婚適齢の20代、30代の世代が、結婚に手が届かなくなったのは、2014年からである。この年から、婚姻数は大きく落ち込むようになった。その後、2019年には「令和婚」(年号が令和になった)という特殊事情があって一時的に婚姻数が上向いたが、2020年からコロナ禍が始まると、激減した。
なにしろ、街はロックダウン、マスク着用、ソーシャルディスタンスという生活では、結婚式そのものができないし、若者たちの出会いの機会も失われた。そのため、コロナ禍が明けた2024年に婚姻数は再度上向いたが、コロナ禍前までは戻らなかった。
ちなみに、出生動向基本調査によると、知り合ってから結婚するまでの平均交際期間は約3年となっている。コロナ禍とほぼ同じ期間である。とすると、2024年の婚姻数の回復は、コロナ禍で結婚を先延ばしにしたカップルによるものと思われる。2024年の年間婚姻数は、約49万組(前年比約2.2%増加)だった。
しかし、今年(2025年)、厚労省発表の上半期(1~6月)の婚姻数は23万8561件で、2024年を下回っている。このままいくと、年間で約48万組弱となり、史上最低になる可能性が高い。
この続きは10月17日(金)に掲載します。
コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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