民主主義的ではなく、独裁的だとしてトランプ米大統領と政権に反対する「No Kings(王はいらない)」のデモが18日全米で展開し、ニューヨーク市内では、市警察(NYPD)の発表によると約10万人超が参加した。6月のNo Kingsデモの約2倍の参加人数で、リベラル派の牙城とされるニューヨーク市でもトランプ政権の権威主義的政策に不安と危機感を抱いている市民が多くいることを浮き彫りにした。

タイムズスクエアを起点としたマーチには、お手製のプラカードを掲げ、恐竜などのコスチュームを着た市民や観光客が殺到。後方の参加者は、デモの終了時間近くになっても動けないほどだった。
参加者は、アメリカの将来を懸念する理由を熱心に語った。
「娘が2人いるが、女性として私たちが過去に持っていた人工妊娠中絶などの権利が、全米で制限されている。ラテン系なので移民取り締まりにも怯えている。娘たちの権利のために参加した」(ソーシャルワーカー、女性)
「ニューヨークの大学で、移民出身や非白人の生徒が肩身の狭い思いをしている。白人でも移民出身の生徒と外出していいのか悩んでいる人もいる。学生に過去と同じ自由を与えてほしい」(大学1年生)
手製プラカードにも思いが込められていた。「愚か者が支配するアメリカ」「ファシズムはいらない」「王はいらない。憲法を愛する」「アメリカを救おう」「バーガー・キングだけにしてくれ」などというメッセージが見られた。

アメリカ国内では、シカゴ、ポートランド、ロサンゼルスなどの移民税関取締局(ICE)施設の周辺で、市民と取締官が激しく対立し、逮捕者が続出。催涙ガスが使われるケースもあり、社会不安が増している中での全米デモだった。
主催者グループによると、全米で2700のデモが行われ、約700万人が参加。6月の約500万人を大きく上回った。しかし、ニューヨークでは、アジア系、ヒスパニック系、黒人の参加者はほとんど目立たず、学生など若い人の参加も少なかった。

一方、NYPDの警官の姿は少なく、NYPDはXで「市内5区で10万人超の市民が参加し、(表現の自由を保証する)アメリカ合衆国憲法修正第1条を平和的に行使した。市警による逮捕者はゼロだった」と発表した。
取材・文・写真/津山恵子
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