2月14日のバレンタインに向けて、ニューヨークの街は赤とピンクに染まる。ショーウィンドウにはハートのデコレーション、そして至るところに出現する花のポップアップ。日本と似ているようでいて、どこか違う。

特に印象的なのは、花束を抱えた男性たちの姿だ。ときには花を花瓶ごと持ち歩く姿も見かける。男性から花やギフトを贈る文化は、今もニューヨークのバレンタインの象徴だ。
しかし近年、その楽しみ方は大きく変わりつつある。恋人だけの特別な日ではなく、女友達と祝う日、シングルが楽しむ日、そして“体験”を共有する日へ。ニューヨークのバレンタインは、いま多様化の真っただ中にあるようだ。
■ カップル編:ロマンチックは“体験型”へ
人気レストランは早い段階で満席になるのがニューヨークの常識。事前予約は必須だ。だが最近は、「ディナーだけ」では物足りないカップルも増えている。
例えば、エンパイア・ステート・ビルでは映画「めぐり逢えたら」の名シーンを再現した体験型イベントが開催され、昨年は完売した。
ブライアントパークでは、かまくら型の透明ドームがバレンタイン仕様のピンクに彩られ、幻想的な空間として話題を集めている。

さらに、1822年創設のフルトン・フィッシュ・マーケットのイベントもユニークだ。牡蠣やアブサンを味わいながらジャズライブやパフォーマンスを楽しめ、VIPにはジャグジー付きのラウンジまで用意される。
そして心を奪われるのは、タイムズスクエアでのプロポーズ。世界中から人が集まる“世界の交差点”で、大勢の人に祝福されながら愛を誓う姿は、この街ならではの光景だ。
愛を言葉で伝えるというより、「思い出に残る体験を共有する」。それが今のニューヨーク流なのだ。
■ 女友達編:2月13日は“ギャレンタイン”
近年広がっているのが「ギャレンタインズデー(Galentine’s Day)」。これは、Gal+Valentaineの造語で、2月13日を女性同士の友情を祝う日としたもの。人気ドラマをきっかけに広まり、恋愛に限らない「多様な愛の形」を象徴する存在となった。最近特に人気なのは、カップケーキやキャンドル制作、フラワーアレンジメントのクラスといった一緒に何かを作る体験型イベントだ。手を動かしながら語り合う時間は、関係をより深めてくれる。恋人がいなくても、この街ではお互いが大切だという思いを語り合える。
■ シングル編:出会いのバレンタイン

恋人がいなくても、ニューヨークは退屈しない。グランドセントラル駅ではスピードデーティングが開催され、リアルな新たな出会いを求める人々でにぎわう。
最近は、ゲームナイトやトリビアイベントなど、自然に会話が生まれる参加型イベントも増えている。映画や音楽など幅広いジャンルのクイズにチームで挑戦するトリビアは、95以上のバーが参加するリーグ戦が行われるほどの人気ぶりだ。
“出会うために参加する”のではなく、“楽しんだ結果として出会う”。そんなスタイルが主流になりつつある。
■ バレンタインは「誰と時間を過ごしたいか」を問う日
かつてバレンタインは恋人たちのための日だった。しかしニューヨークでは今、「一緒に過ごしたい誰かと、思い出に残る体験を共有する日」へと変わりつつある。バレンタインは、「愛を伝える日」というよりも、「誰と体験を分かち合いたいか」を問う日なのかもしれない。
あなたは、どんな体験を、誰と分かち合いますか。
文/藤原ミナ
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