ブルックリン・コニーアイランドのボードウォークに毎年7月4日、ひときわ大きな歓声が響き渡る。1916年創業の老舗ホットドッグ店、Nathan’s Famous(以下、ネイサンズ)本店前で開催される「独立記念日ホットドッグ早食い大会」だ。今やニューヨークの夏を象徴する名物イベントとして知られている。

ネイサンズは、創業者のネイサン・ハンドワーカーが300ドル(当時)の融資と妻の秘伝レシピで考案した一口サイズのホットドッグを5セントで販売し、大人気に。「早食い大会」は公式には1972年に始まったが、その起源は創業年の独立記念日にさかのぼるとされる。言い伝えによると、同店の前で4人の移民が「誰が最も愛国的か」を競い、ホットドッグの早食いで勝負をつけたという。優勝者は13本を平らげたアイルランド系移民だったという。
現在では、会場周辺に多くの観光客や地元住民が集まり、テレビ中継も行われる一大イベントへと発展。ルナパークやビーチと並び、夏のコニーアイランド観光のハイライトの一つとなっている。
日本人王者も誕生
この大会を国際的な舞台へ押し上げた立役者の一人が、日本人の小林尊さんだ。2001年に初出場で優勝し、当時の常識を覆す50本完食という記録を打ち立てた。その後も連続優勝を重ね、計6度の優勝を達成。世界的な早食いブームを巻き起こした。小林さんの活躍は大会の知名度を一気に高め、日本を含む海外からも注目を集めるきっかけとなった。
その後、ジョーイ・チェスナット選手が台頭し、これまでに17回優勝。21年には10分間で76本を完食し、ギネス世界記録を保持している。
NYらしい夏の光景
早食い競技は古代神話にも登場するが、ネイサンズの大会はその中でも特に象徴的な存在だ。現在は統括団体「メジャー・リーグ・イーティング」が競技を管理し、“スポーツ”としての側面も強まっている。
それでも原点は変わらない。ビーチならではの開放感に浸りながら独立記念日を祝いホットドッグを囲んで盛り上がる。ネイサンズの早食い大会は、ニューヨークらしい活気とユーモアを体現する夏の名物行事として、今も多くの人々を引きつけている。
コニーアイランド店と「早食い大会」の運命は?
ネイサンズのアメリカ、カナダおよびメキシコにおけるライセンスを保有する大手豚肉加工業者のスミスフィールドフーズは今年1月21日、ネイサンズ・フェイマス社を4億5000万ドルで買収。スミスフールドは、ブランドの核となるコニーアイランド本店と独立記念日の早食い大会は継続すると発表している。
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