女優ドリュー・バリモア(3500万回再生)からヒップホップMCのスヌープ・ドッグ(400万回再生)、さらにはNHK教育テレビで1995〜97年に放送された「ブロッサム」の主演女優メイム・ビアリック(4500万回再生)まで、セレブリティや一般の人々が1990年代の全盛期を振り返るリールの投稿が大流行りだ。25日付ウォール・ストリート・ジャーナルが、90年代再評価の動きについて分析している。

「退屈な時代」とされていた90年代が、再び注目を集めている。背景には、情報過多で常にオンラインにつながる現代社会への疲れがある。スマートフォンやSNSがなかった当時、人々は限られた情報の中で生活し、対面の交流やゆったりとした時間を大切にしていた。
90年代アイコンのドラマが大バズり
人気はSNSだけにとどまらない。90年代のトレンドは至る所に広がっている。ファッションでは、Khaiteのスリップドレス、Proenza Schoulerのミニマルなシースドレス、定番Marc Jacobsのスタイルなど。エンタメでは、ライアン・マーフィー監督のFXドラマシリーズ「ラブストーリー」だ。主役は、90年代に「The Sexiest Man Alive(最もセクシーな男)」と大モテだったジョン・F・ケネディ・ジュニアと、ファッションアイコンだった妻のキャロリン・ベセット(共に1999年7月、飛行機事故で死亡)。過剰なテクノロジーに頼らず、人と人との感情や関係性を丁寧に描いた作品は多くの視聴者に新鮮さと懐かしさを感じさせ、同チャンネル史上最も視聴されたミニシリーズとなった。
オフラインで分断も少なかった90年代
なぜ90年代がこれほど愛され、なぜ今なのか? 答えは、その10年間がiPhoneやSNSが登場する前の、人々が「オフライン」で暮らした最後の時代だったからだ。それは、その時代を覚えている者たちだけでなく、それに憧れる若者たちにとっても魅力的な過去のようだ。ピュー・リサーチ・センターが昨年4月に発表した調査報告によると、10代のほぼ半数がSNSが自分自身や仲間たちに悪影響を及ぼしていると回答。当時はニュースの更新も遅く娯楽も限られていたが、その分、人々は一つ一つの出来事に集中していた。電話での長話や、直接会って過ごす時間が日常の中心にあり、仕事と私生活の境界も今より明確だった。一方、現代では、人々は通知や情報に追われ、常に何かに反応し続ける生活が当たり前となっている。
さらに90年代は、現在ほど社会の分断が顕著ではなく、ある程度の共通認識が共有されていた時代でもあった。こうした背景から、今の若い世代の間でも「90年代のような落ち着いた暮らし」への関心が高まっているという。
コラムでは、「完全に過去に戻ることはできないが、その価値観を取り入れることで、よりバランスの取れた生き方が見えてくるのではないか」と示唆。90年代を振り返ることで、SNSや仕事に追われがちな日本人にとっても、生活リズムや働き方を見直すきっかけになるかもしれない。
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