ロングアイランド鉄道(LIRR)の労働組合は、賃上げや医療制度の変更案などを巡り16日深夜0時からストライキに突入。1日平均27万人以上が利用する全路線が運休となり18日朝、通勤は大混乱に陥った。3500人の鉄道従業員の約半数を占める労働組合所属の労働者たちは2022年以来、昇給がない状態。一方で、一部の者が時間外手当だけで年間20万ドル(1ドル155円換算で3100万円)以上を得ており、LIRRの給与システム自体に問題があるとの指摘が出ている。NYポストが同日伝えた。

人件費のうち残業代が22%
LIRRの最新の給与記録によれば、労働組合加入の325人を超える従業員は高額な基本給に加え、年間10万ドル以上の残業代を得ており、そのうち11人は2倍以上の残業代を手にしている。保守系シンクタンク、マンハッタンインスティテュートの研究員、ケン・ジラルダン氏は、LIRRの人件費のうち、残業代が実に22%を占めていると指摘する。
高額所得者の中には、基本給12万9483ドルに加え、昨年は24万4954ドルの残業代を稼ぎ、総収入が39万6749ドル(約6150万円)に達した監督職の男性もいた。男性は、MTAのダニエル・コート監察官による調査で偽の身分証明書を使用して勤務を回避しながら給与を受け取っていたとされるLIRR職員36人のうちの1人。
「ホークル知事は(労組側の要求を鵜呑みにせず)非効率な労働組合契約のせいで、LIRRでは昨年11人の従業員がそれぞれ20万ドル以上の残業代を受け取ったという事実について語ることから始めればよい。LIRRの労働者は、既に全米で最も高給な公共交通機関の従業員だ」とジラルダン氏。
残業代や障害年金の不正受給も
LIRRの不正問題は長年にわたりさまざまな形で発生。2011年には数百人の従業員が関与したとされる障害年金スキャンダル(障害状態であると主張して年金を不正に受給していた事件。10億ドル規模の詐欺事件に発展した)も起きている。NYポストは21年、LIRRにおける残業代の不正受給に関する一連の告発記事を掲載。その後、連邦政府が起訴、不正に残業代を得た職員は詐欺罪を認め、懲役8カ月の判決を受けた。ジラルダン氏は「制度があまりにも歪んでいるため、合法的な経費と違法な経費の区別がつかないほどだ」と憤慨する。
ホークル知事は合意を拒否
報道によると、労働組合は過去3年間分の遡及的な賃上げ(計9.5%)と、今年度の5%の賃上げを要求しているという。しかし、MTAは今年度の3%の賃上げに加え、一時金として総額4.5%相当の支給を行うことしか同意していないとされる。ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は、MTAの財政を安定させるために多額の投資を行ってきたとし、運賃値上げを強いるような合意には同意しないと述べた。
非営利団体アソシエーション・フォー・ア・ベター・ロングアイランド(ABLI)の事務局長、カイル・ストローバー氏は、「持続可能でないにもかかわらず、単に労働組合を満足させ列車を走らせるためだけに合意を結ぶべきではない」と警告する。ストローバー氏は、LIRRの労使合意が過度に高額になった場合、地域経済に影響を及ぼし得る3つの圧力要因として、運賃値上げ、給与税の引き上げ、あるいは渋滞税の値上げを挙げた。「これにより、この地域での生活費が高くなり、より多くの人々がニューヨークから流出することになるだろう」
経済的損失1日6100万ドル、渋滞税は継続
州会計監査局によると、このストライキにより地域経済は1日当たり6100万ドルの経済活動損失を被る可能性がある。またホークル知事は、マンハッタンの最も混雑する区域に入るドライバーに課される「渋滞税」について、この制度を停止するための法的手段を持たないとして、スト期間中も停止しない方針を示した。
*追記:ストライキは18日夜、妥結した。
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