アメリカで今、“飛行機内マナー”を巡る論争が広がっている。米運輸省(DOT)は、乗客同士のマナー向上を呼びかけるキャンペーンを展開。さらにウォール・ストリート・ジャーナルも、「靴を脱ぐのはアリか」「席替わり依頼は断っていいのか」など、機内でたびたび議論になる“飛行機マナー問題”を特集している。

「靴を脱ぐ」はどこまでOK?
アメリカでは、長時間のフライトで靴を脱ぐ乗客は珍しくない。しかし近年、裸足で機内を歩く行為や、隣席にはみ出すケースなどに不快感を示す声も増えている。SNSでは、「靴を脱ぐのは構わないが、靴下は履いてほしい」「臭い対策は最低限のマナー」など、“快適さ”と“周囲への配慮”の境界線を巡る議論が続いている。
肘掛けは誰のもの?
3列席の“中央席の肘掛け問題”も、長年の定番論争だ。一般的には、窓側 → 壁にもたれられる、通路側 → 足を伸ばしやすいという理由から、「真ん中席の人が両側の肘掛けを使う権利がある」という“暗黙ルール”を支持する声が多い。
「席を替わって」は断ってもいい?
家族連れから、「子どもの隣に座れるよう席を替わってほしい」と頼まれるケースも少なくない。ただ最近では、有料で座席指定した人、通路側や前方席を選んだ人などから、「なぜ自分が不便な席へ移らなければならないのか」といった不満も出ている。アメリカでは、“親切で譲るべき”という考え方と、“指定席は個人の権利”という考え方が対立するテーマになっている。
窓シェード問題も“派閥”が存在
離着陸時以外、窓のシェードを開けるか閉めるかでも意見は分かれる。昼間に景色を楽しみたい人がいる一方、「まぶしくて眠れない」「映画が見づらい」として閉めてほしい人もいる。特に長距離便では、“窓側席の人に決定権がある”という空気がある一方で、客室乗務員が機内全体の明るさ調整のために閉めるよう求めるケースもあるという。
「文化レベルが下がった」との声も
ショーン・ダフィー運輸長官は昨年、「空の上での礼儀や節度が低下している」との認識を示し、「法律で強制はできないが、互いに少し配慮できれば状況は改善するはずだ」と述べている。コロナ禍以降、アメリカでは機内トラブルが社会問題化。マスク着用を巡る口論や乗務員への暴言などが相次ぎ、“空のマナー”への関心が一気に高まった。
限られた空間に、知らない人同士が何時間も閉じ込められる飛行機。快適さを優先するか、周囲への配慮を優先するか――。アメリカでは今、“機内マナーの境界線”を巡る静かな論争が続いている。
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