CBSニュースは2日、「調査報道番組の金字塔」とも評される同ネットワークの看板番組「60ミニッツ(60 Minutes)」で長年、特派員を務めてきたベテランジャーナリストのスコット・ペリーを解雇した。各メディアが同日、伝えた。CBSは33年以上続いた深夜番組をキャンセルするなど、トランプ政権寄りにシフト。言論や報道の自由・独立性を侵害する流れに危機感が広がっている。

ペリーは前日のスタッフ会議で、新しいエグゼクティブプロデューサーのニック・ビルトンと激しく対立。ビルトンの適性を疑問視するとともに、物議を醸した一連のスタッフ解雇を受けて、番組編集長のバリ・ワイスが「60ミニッツを殺した」と非難した。直後にペリーは不服従を理由にCBSニュースから解雇された。3日付BBCによると、ペリーは後に自身の報道に「未確認の主張や偏見を盛り込むよう圧力をかけられていた」と述べた。
「60ミニッツ」の粛清
5月下旬、新たに就任したCBSニュースの経営陣は、長年のエグゼクティブプロデューサーであるターニャ・サイモンに加え、プロデューサーや著名な特派員であるシャリン・アルフォンシ、セシリア・ベガを正当な理由もなく解任。これにより、経営陣が独立した報道を損なっていると非難するベテランのアンカーたちからの反発を招いた。ペリーはスタッフ会議でワイスに一連の解雇について質問したが、ワイスは回答を拒否したという(3日付バラエティー)。
CBS右傾化への道のり
CBSの右傾化とトランプ政権とのつながりは、「見返り」という、規制からの生き残りと企業拡大の循環に基づいている。ここで分かりやすく解説する。
企業の必要性
CBS親会社のパラマウントは、約80億ドル規模のスカイダンス・メディアとの合併を進めるため、FCC(連邦通信委員会)の承認を必要としていた。その後、同社のオーナーであるデビッド・エリソンは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(CNNの親会社)の買収に向けた敵対的買収を仕掛けた。
規制のゲートキーパー
これらの大規模合併を成立させるには、連邦通信委員会(FCC)の絶対的な承認が必要だった。FCCの委員長はトランプ政権によって任命されたトランプ支持者のブレンダン・カーが務めている。
圧力手段
一方、トランプ大統領は、「60ミニッツ」によるハリス前副大統領のインタビューを巡り100億ドルの訴訟を起こしていた。この訴訟は、法律専門家から広く「根拠がない」と見なされていたが、トランプ氏とカー委員長は、同訴訟と合併阻止の脅しをパラマウントに対する強力な圧力手段として利用した。
屈服
パラマウントは最終的に1600万ドルで和解し、DEI(多様性・公平性・包括性)施策の廃止や保守派の「バイアス監視役」を任命。さらに、「レイトショー」のホスト、スティーヴン・コルベアがこの和解を「賄賂」と嘲笑したことを受け、番組を打ち切った。その後、FCCは合併を承認した。
経営陣の刷新
ワーナー・ブラザース・ディスカバリー/CNN買収に向けた将来的な便宜を確保するため、エリソンは右派のバリ・ワイスを編集長として迎え入れ、CBSニュースの抜本的な刷新に乗り出した。ワイスは、自ら「脱バース党化」と称するネットワークの改革を公然と開始し、トランプ政権を調査していたベテラン記者たちを排除し、保守派のポッドキャスターやコメンテーターに置き換えた。
世界の報道自由度、アメリカは64位
国境なき記者団(RSF:Reporters Without Borders)による「世界報道自由度ランキング(World Press Freedom Index)」の2026年版では、アメリカは180カ国中64位。これは過去最低水準で、前年よりさらに順位を落としている。日本は66位、1位はノルウェーだった。RSFは、アメリカの順位低下の理由として次の点を挙げている。特に2025~26年は、トランプ氏復帰後の、CBSやABC、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)、AP通信などへの圧力や、FCCを巡る議論が強く影響したと分析している。
• 政治家によるメディア攻撃
• FCCや政府機関を通じた圧力への懸念
• 訴訟による萎縮効果
• メディア企業への経済的圧力
• ジャーナリストへの敵視
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