ニューヨーク州議会はこのほど、州法上の「母親(mother)」「父親(father)」といった表現を、より包括的な性別中立用語へ変更する法案を可決した。NYポストなど各メディアが伝えた。法案は今後、ホークル知事の署名を経て成立するかどうかが決まる。

「母親」「父親」を性別中立表現に
法案では、州法の一部において「mother(母親)」を「gestating parent(妊娠・出産した親)」、「father(父親)」を「non-gestating parent(出産していない親)」または「parent(親)」へ置き換える。また、「paternity(父子関係)」は「parentage(親子関係)」へ変更される。対象となるのは家庭裁判所法、家族関係法、社会福祉法、教育関連法など幅広い分野で、法案は6月2日に州上院で38対23の賛成多数で可決された。
同性カップルや代理出産に対応
法案を提出したルイス・セプルベダ州上院議員(民主)は、現行法や判例との整合性を図るために必要な改正だと説明している。支持派は、同性カップルによる子育てや養子縁組、代理出産、生殖補助医療など、多様な家族形態が広がる中で、従来の「母親」「父親」という表現だけでは実態を十分に反映できないと主張する。養子縁組を専門とする弁護士レスリー・シルバー・ホフマン氏も、「ニューヨークには父親が2人の家庭も、母親が2人の家庭もある」として法改正を支持している。
与野党から批判の声も
一方で、共和党議員や保守派からは強い反発が出ている。法案に反対票を投じたパトリシア・カンゾネリ・フィッツパトリック州上院議員(共和)は、「生活費の高騰や公共安全の問題に苦しむニューヨーカーがいる中で、民主党は州法から『母親』と『父親』を削除することを優先した」と批判。「私は母親であり、『母親』と呼ばれることを誇りに思う」と述べた。また、共和党の知事候補ブルース・ブレイクマン氏は、この法案を「ニューヨークの家族に対する宣戦布告だ」と非難。さらに、匿名の民主党議員からも「一言で言えば“不必要”だ」との声が上がっており、党派を超えて賛否が分かれている。
ホークル知事が最終判断
法案は現在、ホークル州知事の下に送られており、署名されれば11月1日から施行される予定。知事は現時点で「法案の内容をまだ詳しく把握していない。これから検討する」と述べている。
「お母さん」「お父さん」という呼び方がなくなるわけではない。しかし、多様な家族のあり方を法制度にどう反映させるべきか――。今回の法案は、言葉の問題を超えた議論をニューヨーカーに投げかけている。
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