寄生虫による感染症、サイクロスポラ症がニューヨーク市内で激増している(7月7日付本紙で既報)。7月中旬の時点で442人が感染しており、2019~24年の年間平均216件を大きく上回った。この夏、全米で数千人が発症したアイスバーグレタス関連の集団感染に先立ち、市保健局(DOH)はブルックリンの飲食店で起きた小規模な感染を調べ、原因食材としてパクチー(シアントロ)にたどり着いた。ニューヨークタイムズが7月19日、伝えた。

感染源の一つとして疑われているパクチー(photo: 本紙)

サイクロスポラ症は、激しい下痢などの消化器症状を引き起こす。感染から発症まで最長14日かかるため、患者が何を食べたか思い出しにくく、感染源の特定が難しい。市内には約2万8000軒の飲食店と約1万7000軒の食品小売店があり、食材の流通経路も複雑だ。

患者はブルックリンの飲食店を利用

4月の調査では、患者全員が同じブルックリンの飲食店を利用し、ワカモレやサルサ、パクチーを口にしていたことが判明した。DOHは店名を公表していない。調査員は調理工程を食材ごとに確認し、患者の同席者や予約名簿に載った別の客にも聞き取りを実施。計5~10人の感染を確認した。ワカモレとサルサにも生のパクチーが使われており、ゲノム解析では全員から同じ系統の寄生虫が検出された。

メキシカンフードは要注意?画像はイメージ(photo: Unsplash / Jonathan Castañeda )

DOHは仕入れ伝票などを米疾病予防管理センター(CDC)に提出し、パクチーの追跡調査を要請した。地元業者から全米規模の業者、さらに海外業者へと流通経路が延びていたが、CDCは調査結果や対応を公表していない。

ブルックリンのパクチーケースの数週間後には、マンハッタンの企業のケータリング昼食会後に数十人が体調を崩し、少なくとも18人がサイクロスポラ陽性となった。DOHは生食されたキュウリ、洋ナシ、サヤエンドウ、ニンジン、パクチーの5品目に絞って調査中。データが示す可能性は説明できるものの、感染源を完全に断定するのは困難だとしている。

生食は避け、必ず加熱を

サイクロスポラ症の感染予防は、まず第一に生食を避けることだ。流水で洗ったとしてもサイクロスポラ原虫を完全に除去するのは困難であるため、CDCでは、野菜や果物の中心部まで摂氏70度(華氏158度)以上に加熱するよう推奨している。また、煮沸する場合、沸騰した水は約100度(摂氏)になるため、実用上は次の方法が確実だ(過去のデータから、関連が疑われる野菜と果物が判明している。詳細はこちらから)。

①野菜や果物全体を沸騰した湯に完全に浸す
②食品を入れて湯の温度が下がった場合は再沸騰させ、少なくとも1分程度加熱する
③葉が重なった部分や太い茎まで十分に熱を通す
※今回リコール対象となったアイスバーグレタスについてCDCは、「加熱して食べるのではなく、廃棄または返品する」よう求めている。

外食時には生野菜抜きで注文を

外食時やテイクアウトでは、自分で十分に洗浄・加熱できないため、サイクロスポラ症が流行している間は生のレタスやパセリ、パクチーなどを抜いて注文するのが最も現実的だ。

• 注文時に、「レタス、パセリなどの生野菜・生ハーブ抜き」と伝える
• 既に挟まれている場合は、取り除くだけでは汁や破片が残るため、心配なら食べない
• 店にレタスの仕入れ元やリコール対象かを確認する
• 生野菜などの代わりに加熱済みのタマネギ、ピクルス、焼いた野菜などに変更する
• サラダ、サルサ、ワカモレも、生のパクチーなどが入っている可能性を確認する

ただし、生野菜全てが常に危険というわけではない。通常時は、衛生管理された店舗での生野菜を一律に避ける必要はない。一方、妊娠中の人、高齢者、免疫機能が低下している人、幼い子どもなどは、感染流行中には生野菜・生ハーブ抜きを選ぶとより安全だ。

なお、食後2日~2週間ほどして水様性の下痢、腹痛、強い疲労、食欲低下などが出た場合は受診し、「サイクロスポラの検査を希望する」と伝えること(通常の便検査では検査対象に含まれない場合がある)。